スタジオジブリの名作を思い起こさせる美術館
『風の谷のナウシカ』、『もののけ姫』、『千と千尋の神隠し』などなど、日本人なら誰でも知っているといっても過言ではないスタジオジブリのアニメ作品。今回伺ったのは、三鷹市の井の頭恩賜公園内にある「三鷹の森ジブリ美術館」だ。
「この場所がなかったら、美術館を作ってなかったかもしれない」と案内していただいた館長の中島清文さんは言う。 「ジブリのスタジオは、『となりのトトロ』を制作したときは吉祥寺にスタジオがあったんです。だからこのあたりは監督の宮崎さんがよく散策していた場所なんです」まさに、映画の世界を思い出すような緑の美しい場所に建てられたのが三鷹の森ジブリ美術館なのだ。
ジブリ映画のなかにいるような空間
大人も子供も楽しめる空間
美術館の敷地に入ると、「宮崎さんが”建物は、それ自体が一本の映画として作りたい”とおっしゃっていたんですよ」と中島さんは話をしてくれた。映画の中でカットが変わるように、美術館を歩くごとに景色が変わるように設計されているのだという。確かに、少し懐かしいような、それでいてちょっと現実ではないような、迷路のような空間の中ではそんな不思議な気持ちになる。
「敷地は1200坪ほど。もともと雑木林のようなところでした。まさにゼロから作ったんです。美術館の洋風の内装は、宮崎さんが作品作りの中で西洋建築をものすごく勉強していた賜物ですね。この螺旋階段も次の展示室に”見学”に行かずに、まず登りたいと思うようなものであってくれればいいなと思っています。」
「でも、大人のほうが喜んでしまうそうですね」と中を見渡しながら中田が笑う。「そうなんです、大人にとっても気持ちのいい空間のようですね」
アニメーション映画を制作しているアトリエの雰囲気が感じられる「映画の生まれる場所(ところ)」や、子どもたちが乗って遊べる巨大なネコバスがいる「ネコバスルーム」は常設展として年中楽しむことができる。美術館でしか見ることの出来ない短編アニメーション作品を上映する映像展示室「土星座」も人気だ。
”自然の借景”と”人々の営み”によってジブリ美術館ができあがる
『天空の城ラピュタ』に出てくるロボット兵。どこか切なげに、手に花をもって差し出したりするあのロボット兵がジブリ美術館にもいるのだ。屋上庭園でひっそりと、でも雄大に美術館を見渡している。その様子に、中田が一言。「おー!あのまま。草も生えてる。本当に映画のなかにいるみたい」。
「子どもたちには思い切り羽を伸ばしてもらいたい。そうやって巡っていくなかで映画の仕組みも知ってもらえたらうれしい」と中島さん。 スタジオジブリは世界的にも有名。外国人のお客さんも多いという。みな大いに喜んでくれるそうだ。美術館を見終わって中田が「こんな空間のホテルがあったら嬉しい…」ともらす。
「公園の一画にあるので、自然の借景と、そこに集う人たちの営みを含めてジブリ美術館ができあがってるんです」と中島さんは話をしてくれた。
*三鷹の森ジブリ美術館は、日時指定の予約制です。ローソンでチケット(入場引換券)を購入してからご来場下さい。
©Museo d’Arte Ghibli / nakata.net ReVALUE NIPPON