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信仰を集めた霊場「長谷寺」
奈良県のほぼ中央、大和と伊勢を結ぶ初瀬(はせ)街道を見降ろすように、山の中腹に建つ寺。西国三十三カ所観音霊場の第八番札所であり、日本でも有数の観音霊場として知られる、長谷寺だ。創建は686年(朱鳥元年)。平安時代以降に観音霊場として貴族から信仰を集めたが、とくに1024年に藤原道長が参詣してからその信仰はさらに広まり、中世以降は武士や庶民たちからも崇敬された。
観音霊場、または学問寺として名を知られているが、それに輪をかけて長谷寺を有名にしたのは牡丹だろう。境内には150種類以上、7000株以上といわれる牡丹があり、季節にはそれが満開になり、幽玄な風景を現出させる。
歌に詠まれた美しい境内
その風景は、古くから人々の心を動かした。「花の御寺」と親しまれ、「枕草子」や「更級日記」といった多くの古典文学に幾度となく長谷寺は登場する。なかでも有名なのが「源氏物語」玉鬘(たまかずら)巻で、長谷寺で右近が玉鬘と再会し、それを喜んだ歌だろう。
「二本(ふたもと)の杉のたちどを尋ねずは古川野辺に君を見ましや」
ここに歌われている「二本の杉」は現在でも東参道の途中に植えられている。
牡丹だけではなく、桜やあじさいなど四季折々の花々が咲く花の御寺。平安時代から現代までの長きにわたり、訪れる人々の心にも花を添えているのだろう。
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