香りを鑑賞する「御家流香道」三條西堯水さん/東京都

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香りを楽しむのが香道

香道では香りを嗅ぐことを”聞く”という。くんくんと香りを嗅ぐのではなく、聞くという言葉からは”楽しむ”という雰囲気が伝わってくる。
香の歴史は600年ごろに推古天皇が香木を焚いて、香りを鑑賞したところから始まるという説もあるぐらいに、歴史のあるものだ。現在のような形での香道が確立されたのは、室町時代。御家流は、室町時代の三條西実隆を流祖としたもっとも古い流派だ。今回は御家流の宗家である三條西堯水(さんじょうにしぎょうすい)さんにお話を伺った。

自由度の高い御家流の香道

「御家流は公家の流派。だからといって公家は御家流をするというわけではありません。武士が御家流をやってもいいし、公家の人がほかの流派にいくこともあります。公家流派は武士の流派よりも、いい意味でルーズ。作法が厳しくないんです。香りを楽しみなさいというのが本質ですね」

体験のその前に

この日は三條西さんがお香を焚いてくれ、中田がその香りを楽しむ席を用意してくれた。いわゆる「鑑賞香」というもので、お点前を披露していただいて、その香りを楽しむという席だ。ほかには「組香」と呼ばれるものがあり、こちらは香りをあてるもの。言ってみれば「きき香り」のようなものだ。三條西さんによれば、ゲーム形式のようなもので、1000種類ほどの楽しみ方があるのだという。それは季節や出席人数、それからどんな人が来るのかを見て決めるのだそうだ。初めての人が多いならば難しすぎないものをというように、誰もが楽しめるようにするという。

鑑賞香のまえに、三條西さんが灰を作る。盛った藤や菱の灰を整え、線を描く。この模様にはいろいろな種類があるという。それから、香木を小さく薄く切ったお香が運ばれ、目の前に香道の用意がされていく。

くつろぐことからはじめる

そしていざ鑑賞香を体験。「お香始めます」から始まる…のだが、三條西さんの第一声は「ご安座に・・・」というもの。ご安座という聞きなれない言葉。「リラックスしてくださいという意味です。ずっと正座じゃ疲れてしまうので」。これも”楽しむ”ための気遣いだ。
灰を入れる香炉、香木を置く盆。部屋をぐるりと見回してみると、掛け軸やお花など、雰囲気を作るために多くの工夫が見立てられている。香りをいただくのが香道だが、三條西さんの使う道具やこの空間を見て楽しむことができるのもまた魅力がある。

香道は体験しなければわからない

三條西さんがたいたお香が目の前に置かれる。香炉を左手で持ち、右手をかぶせて香りをためるような形をとる。そして3度香りを聞く。このときは4種類の香りを聞かせていただいたのだが、それぞれ違った香りがあり、そのたびにスッと心が落ち着いていくようだ。

「友人に香道の話をすると、みんな面白そうって言うんですよ」。終わったあとに、中田がそう言うと、「たしかに。香りというのは、メディアには絶対に載せることができないものですからね。いろいろ調べても結局”じゃあどんな香りなの?”となる。実際にやってみないとわからない。だからご興味があるのかもしれませんね」と三條西さんは言った。
「これをやれ、あれを覚えろっていうことではなくて”楽しむ”ということが大前提なのがすごく気持ちいいですね」と中田が言うと「足も崩せますしね」と三條西さんは笑っていた。

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御家流香道 三條西堯水
東京都
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