書を楽しむこと「書道家 武田双雲」/神奈川県

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湘南との出会い

テレビ番組でのパフォーマンスなど、多彩な活動を行う書道家として知られる武田双雲さんが、アトリエと教室を構えるのが神奈川県の湘南。

「ご出身は熊本ですよね?どうしてここを選んだんですか」という中田の質問に、「実は、僕は書道家になるなんて、まるで思っていなかった」と意外な答えが。

3歳のころから母である書道家・武田双葉さんに書を習っていたという経歴から、書道家になるべくしてなったという印象を持つがそうではないという。東京で理系の大学に進学し、卒業後は企業で営業職についた。そして、独立しようと考え、湘南を訪れたときに古くどっしりとした家を見つけたのだ。

「本当に職人の気合の入った家だったんです。すごく気に入って、その場で辞表を書いた。」と双雲さんは振り返る。それから、書道教室を開き、ストリートで書を書き、書道家としての活動がスタートしていった。

教えること教わること

書道家として創作活動に励むかたわら、教室で先生として生徒と向き合うこともある。そのとき双雲さんが大事にしているのは、「楽しむ」ということ。書道もスポーツや音楽のように、触れてわくわくするものであってほしいという。習うというと、普通は基礎、応用、創作という順番で教えるものだろうと思うが、双雲さんはそれらを同時に教えるという。
「書っていうのは良い悪いっていうのが判断しづらい。きれいな字を書いてもいいし、オリジナリティを持った字を書いてもいい。幅が広いし、まだ研究の余地があると思うんです」という。ときには”ヘタな字競争”ということもやるという。文字通り、ヘタな字を書くことを競う。お手本をはなれて、書くことにどんどん挑戦するのだ。
双雲さんは人に教えることで、逆に教えられることも多いという。「例えば外国人は朱墨の色に感動する。自分でやっているだけでは感じることができないことってたくさんあるんですよね」そして、書道のあらゆる可能性を探りたいと語ってくれた。

自分のもっている字を高める

中田も筆を持った。今回も「中田英寿」という名前を練習することに。大事なことはふたつ。ひとつは見ること。お手本をよく見ることが大事だという。意外と手にばかり集中がいって、見るというところには気が向かないそうだ。目標が見えていないと練習にも身が入らない。だから手と同じくらい見ることが大事だという。
もうひとつは腰で書くということ。筆を持つとどうしても手に力が入ってしまうもの。しかし、スポーツと同じで余計な力が入ってしまうとうまくいかない。手は筆が落ちてしまうのではないかというぐらいに力を抜いて、腰で書くのだという。筆圧を加えるときは、筆の重さで十分だそうだ。
何度か自分の名前を書いていると「自分の書く字があまり好きじゃないんですよ」と中田がいった。すると双雲さんは「もったいない」という。文字にはその人の特徴がでる。「もちろん基本は大事ですけど、どこかにあるサンプルを持ってくるんじゃなくて、自分の持っている字を高めていけたらいいと思うんですよね」と双雲さんは話してくれた。

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書道家 武田双雲
神奈川県
URL http://www.souun.net/
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