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細部へのこだわり馬越寿さんのガラス作品の最大の特徴は”細部へのこだわり”だ。それは、形、色は当然のことながら、肌質まで細部にとことんこだわり抜く。大きなオブジェを制作していたこともあるというが、現在取り組む作品は花器や香水瓶。表面、内側、蓋、細部にまで繊細な美しさを持つ作品だ。工房で作業を見学させていただくと、精巧に作り込まれていく作品はガラスという素材の持つ表現の幅広さを感じさせてくれるようだった。 馬越さんの繊細な造形は「コールドワーク」という技法を多用している。つまり固まった状態のガラスを削る作業だ。吹きガラスに代表される「ホットワーク」で基本的な形をつくり、一度冷やした後に、さらに”削る”加工を加えて自身の世界観に近づけていく。 |
偶発性も大切なかたち馬越さんの特徴は表面の質感にも現れる。見せていただいた作品のなかで、中田が興味をもったのは、霜のようなざらざらとした質感のもの。それを可能にしているのがグルーチップという技法だ。手で彫って作り出した凹凸ではなく、自然の偶発性が作り出した表面の小さな割れとでも言おうか。グルーチップという技法のグルーは糊のこと。表面の下地をサンドブラストにしておいて、その上にニカワを塗るのだという。 |
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質感が生まれるまた、作品の表面にエナメル絵付けをする作品にも取り組む。ガラスの表面にエナメル塗料を塗り、高温で焼き付けるのだ。白いエナメルはやや不透明で艶やかな質感をその表面に残し、独特の表情が生まれるのだった。 |
ACCESS
- ガラス工芸作家 馬越寿
- 神奈川県相模原市
- URL http://panorama-index.jp/umakoshi_yasushi/