最高の「米沢牛」を育てる 鈴木寿一さん·鈴木英行さん/山形県米沢市

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日本を代表する”米沢牛”

「肉だけじゃなくて、お米、お酒まで作ってるんですか!」
中田が驚いたのも無理もない。米沢牛の達人として知られる「リベラルファーム米沢」の鈴木寿一さん、英行さん親子は牛を育てるだけでなく、お米や野菜も作っている。さらには酒米の美山錦も作っていて、地元の酒造に頼んでお酒にしてもらっているのだそうだ。
米沢牛といえば誰もが知っているブランド牛だろう。ただ、もともと米沢では牛を頻繁に食べる習慣はなかった。明治初期に英語教師として招いたダラスという人が、故郷のイギリスを懐かしんで農家に頼んで牛を食べさせてもらったのが、食肉としての始まりだ。ちなみにダラスは、そのあまりのおいしさに、米沢から横浜に帰るときに、肉を大量に持って帰ったという逸話もある。
そのブランド牛、米沢牛のなかでもとびきりおいしい米沢牛を生産しているのが鈴木さん親子なのだ。

日本一と認められた米沢牛

米沢牛の特徴はなんといっても霜降りのきめ細やかな脂。口のなかに入れると文字通りとろけるように甘さが広がる。食べればすぐに違いがわかるおいしさだ。そのなかでも、鈴木さんは“日本一”の称号を受賞している。父の寿一さんは過去に東京食肉市場で行われた全国枝肉共励会で最優秀賞を受賞しているし、英行さんは米沢牛枝肉共進会で優良賞を受賞した牛を育てている。ともに日本一といっていい牛肉だ。ちなみに枝肉というのは、内蔵などを取り除き身体を半分に切断した状態の肉。その時点で格付けが決まる。よく「A5ランクの牛肉」という表示を見かけるが、これは枝肉の状態で格付けされたものだ。
 鈴木さんが育てているのは未経産のメス牛。四季のある米沢で育てられるメス牛は脂もしっかりとのり、味と風味がよくなる。しかも鈴木さん曰く「舌触りもいいんです」とのこと。米沢牛のなかでも最高においしい肉ということだ。ただし、メスだけで育てるというのはなかなか難しく手間もかかる。だが、鈴木さんは100頭近くのメス牛を育てて出荷している。仔牛も米沢で生産されたものも肥育している。それは正真正銘、米沢産の米沢牛、それも最高級の牛肉なのだ。

米沢牛をおいしくいただく

牛小屋をあとにしてご自宅に招かれる。そこにはお酒が。牛肉を食べさせていただけるとのことなのだが、その前にまずはお酒を。
「いま焼いている肉はね、まだあまり熟成してないんだけど」と寿一さんが言う。
「牛も熟成するんですか?」
「一ヶ月、枝肉のままぶらさげておくと旨みが増すんです」
熟成することによりアミノ酸などが出てきて旨みが増すのだという。私たちの前に出される“食肉”としてはもちろん賞味期限が設定されるのだが、骨を抜かない状態では置いておくことができるのだそうだ。その期間はお店によって異なるという。
そんな話を聞いていると焼きあがった肉が目の前に。言葉は必要ないほどにおいしい。もちろんお酒も進む。さらには白いおにぎりまで。そしてまた肉が進む。お酒が進む…。気がつけば、お酒もご飯も肉もすべてなくなっていた。

ACCESS

リベラルファーム米沢
山形県米沢市遠山町1209番地
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