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ぱっと目に飛び込む、鮮やかな色の作品がずらり
森に囲まれたアトリエ。一歩足を踏み入れると、色とりどりの陶器が陳列されている。国内外で数々の賞を受賞し、高い評価を得ている陶芸家の松田百合子さんのアトリエだ。
作品の特徴は、華やかな色使いと、独特の造形。鮮やかな赤や金の色に植物を象ったデザインが目に飛び込んでくる。
「作品を作られるときはどういうイメージで作られるんですか?」と中田が質問すると、松田さんはこう答えた。
「一応テーマを決めてるんです。野菜をテーマに作っていたときもあるし、富士山をテーマにしたものもあります。それから注ぐ、盛るといったような用途を先に決めてから作るときもありますね」
展覧会に出す作品も制作しながら、食卓にのぼるような実用的な作品も作る。
「“使えるもの”となると、デザインなど独創性とどの程度折り合いをつけるか、その度合いが難しいですよね」と中田。
「そこはいつも頭を悩ますところではありますね。でもこういう絵を描きたいから器を作ろう、おもしろい形ができたらこれに何を描こうかって楽しみながら作ってますよ」
「土だから、ちょっと伸ばせばいい」土の自由な特性をいつも心に
当日は、カップ作りを体験させてもらった。土を丁寧に伸ばす。
「あ、ほら、これはちょっと短いかな。でもね、土ですから、ちょっと伸ばせはいいだけ。近ごろは、そんなふうに余裕も出てきましたね」そう笑う松田さんと同じように、作品からもゆとりと楽しさが伝わってくるようだった。