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平城京遷都とともに薬師寺がこの地へ
680年、天武天皇によって造営が開始された薬師寺。当初は飛鳥の藤原京におかれていたが、平城京遷都ともに現在の西ノ京に移されたという。
本尊は金堂に坐している薬師三尊像。中央に薬師如来がおり、その脇をかためるように日光菩薩と月光菩薩が鎮座する。六朝や唐などの影響を受けつつも、独自の古典様式を完成させた、奈良時代の仏像彫刻の傑作のひとつとして名高い仏像だ。飛鳥時代のように華美な装飾はあまり見られず、人体を正確に模した肉付けがされている。
薬師寺は「香りの席」で有名
近年多くのアーティストが薬師寺でコンサートを行い、広く親しまれるようになったが、この寺でもうひとつ有名なのが「香りの席」だ。聞香(もんこう)ともいうが、中田もこれを体験させて頂いた。
主に仏教につかわれた香木を炊き、その香りを鑑賞する。600年ごろからすでに始まったといわれる、日本独自の伝統である。お線香のようなものに直接火をつけるのではなく、多くは聞香炉とよばれる炉に灰を入れ、その上に薄く切り熱した香木をのせて香りをいただくという形式がとられる。
茶道や華道にくらべて、香道はあまり体験することがないが、炉から立ちのぼる香りはまさに「聞く」という表現がぴったりの繊細なもの。こうした繊細さ、ふんわりとして曖昧なもの、そうしたものへの敏感な感性が、日本の文化を築いてきたのだと実感できる。
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