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江戸時代の始まりと終わり
「二条城」と聞くと、すぐに「大政奉還」と連想してしまう人も多いのではないだろうか。たしかに幕末、徳川最後の将軍となった慶喜が大政奉還を発表したのが、二条城の二の丸御殿。これによって江戸時代は終焉に向かうわけだから、江戸時代の最後を告げた場所ともいえる。
だが、二条城は江戸時代の産声を聞いた場所でもある。関が原の戦いで勝利をおさめた徳川家康が、上洛のさいに宿所として大宮押小路に築城を命じ、1603年に完成したのが二条城なのである。
美しさの粋を集めた世界遺産
その年に家康は伏見城にて征夷大将軍補任の宣旨をうけ、室町時代以来の慣例であった「拝賀の礼」を御所にて執り行った。その後、二条城にて正式に「将軍」の地位につき、ついに江戸時代が本格始動したのである。古都京都の文化財としてユネスコの世界遺産にも登録されているほか、国宝とされている二の丸御殿や、国の特別名勝にも指定されている二の丸御殿庭園など、文化的、芸術的価値の高い二条城。
江戸時代の始まりと終わり、その両方に立ち会った城である。
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