にごり酒とどぶろくの違い
「にごり酒」という名のつく酒は数あれど、ここ増田徳兵衛商店の「月の桂 大極上中汲にごり酒」はその元祖である。1964年に、日本で初めて「にごり酒」という名を使って販売した酒なのだ。「にごった酒なら、日本には古くからどぶろくがあるだろう」そう思った人は間違いではない。にごり酒はどぶろくとは違い、上槽したばかりの生酒の澱(オリ)を分離させ、一回だけ澱引きをしたものなのである。だから、もろみを漉しとらないどぶろくは違い、爽やかな味わいを持つ「清酒」なのだ。
「月の桂」はもろみの発酵途中で瓶詰めをしているので、瓶のなかでも発酵し続けている。わずかに残ったもろみは沈殿する。瓶の底にもろみが沈殿していると瓶を振りたくなるのが人の心理なのだが、振ってしまうと、発泡性があるために、開けるとき吹きこぼれてしまう。その扱いの難しさに、当初はかなりの苦情もあり、品質保持の為に、運送方法にまでも気を配るようになった。
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大切に保管する古酒
「月の桂 大極上中汲にごり酒」は、飲む直前まで3、4時間冷凍庫でよく冷やすのが美味しくいただくポイントだ。自然の発泡性は、口のなかでパチパチとはぜる。まるでお米のシャンパンだ。フルーティーな香りが鼻を抜け、爽やかな酸味が舌を刺激する。のど越しはすっきりと心地いい。「元祖にごり酒」、ぜひ試してみてほしい。
創業1675年。300年以上変わらぬ、手作りの酒。増田徳兵衛商店では、磁器の瓶で寝かせた古酒も取り扱っている。中田が見学させていただいたのは、磁器の瓶が積み上げられた蔵。中には30年も寝かしたの瓶もあるのだという。この蔵で10年寝かせたお酒は、琥珀光「特別酒」として販売される。味がまろやかに熟した琥珀色のお酒は、特別な日におすすめの1本だ。
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