お米マイスターのお店
東京千代田区の麹町にある「米マイスター麹町」というお店。「マイスター」という名前のとおり、産地情報や栽培情報、新品種の情報などを集めて、それぞれのお客さんのニーズに合わせたお米を提供するお店だ。個人のお客さんのほかに、業務用のお米も用意して、料理屋さんの命ともいえる“おいしいお米”を提供している。今回お話を伺ったのは、「米マイスター麹町」の代表者を務めている福士修三さん。
福士さんはもちろん「米マイスター」。しかも米殻業界に30年以上携わっている、5つ星マイスターなのだ。福士さんはおいしいお米を知っているだけではない。豊富な知識と情報でおいしいお米を作り出す。
オリジナルブレンドのお米を
福士さんがどのようにしておいしいお米を作り出すかというと、ブレンド。かつてはブレンド米というと、味の質より“安い商品”を作ることだった。私たち消費者も、ブレンド米=安価なお米というイメージがあったかもしれない。しかし福士さんは”おいしいお米”を作るためにブレンドをするのだ。
「違う品種の特徴を活かしてブレンドするのはもちろんです。でも同じ品種、例えばコシヒカリでも育った土地によって違いがある。だから土地の情報や特徴を踏まえてよりおいしくなるようにブレンドするんです。どこの米にも完璧なものはないと思っています。それぞれのいいところを合わせて最高の味を作ることができるんです」
また、米マイスター麹町にはさまざまな品種や産地のお米があるので、その特徴をいかしてお客さんオリジナルのお米をブレンドすることもできる。そこでマイスター福士さんの登場となるわけだ。粘り気がある。甘味がある。そういった情報を駆使して、お客さん好みのブレンド米を作り出す。
福士さん注目のお米を教えてもらう
ブレンドをしておいしいお米を作るのだから、福士さんのもとには驚くほどさまざまなお米がある。超有名産地の超有名ブランド米はもちろん、生産量の少ない希少なお米や玄米、雑穀もある。真空米というものある。
「冬眠米とでもいうのでしょうか。真空パックで長期保存のできるお米も注目されています。真空パックの場合は玄米のほうが保ちはいいですね」
全国の美味しいお米たち
ほかにも食物繊維を多く含む雑穀米も人気が高いという。また、希少ブランドでは岐阜県下呂市でたまたま発見されたという「龍の瞳」という品種。大粒で粘りがあり、甘さが際立ち人気があるという。ほかにも、九州沖縄農業センターで交配された「にこまる」、佐渡産の「朱鷺米」、長野県の野沢農産の「橅乃水」など、全国各地のありとあらゆるお米が揃っている。
聞けば聞くほど様々なお米の話題が出てきて、お米談義は尽きることがなかった。
福士さんはブレンドした米は必ず試食する。それで納得できなければ違うブレンドを試してみるのだという。全国のお米を知る福士さんも最後は頭ではなく舌でお米を作り出すのだ。