時代を創造する作品と出会う「川崎市岡本太郎美術館」/神奈川県川崎市

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芸術家 岡本太郎

「芸術は爆発だ!」この言葉を残したのは、芸術家として世界的にも、そしてお茶の間にも知られる岡本太郎だ。
岡本は1911年に母の実家がある神奈川県川崎市に生まれた。父 岡本一平は著名な漫画家、母 岡本かの子は歌人であり小説家という感性豊かな両親のもとに育つ。東京美術学校に在学していた18歳から10年間をフランスで過ごし、20代は欧州のシュルレアリスム運動や前衛芸術に触れ積極的に作品を発表していく。日本に帰国し31歳の時には第二次世界大戦への徴兵を受け戦線に立った。そして戦後、激動の時代と呼ばれる時のなかで数々の芸術作品を発表する。

大阪万博のモニュメントとして有名な「太陽の塔」、時を同じくして制作され、現在は渋谷駅の構内に展示されている「明日の神話」など巨大な建造物や絵画の数々。また縄文時代の文化を再評価する芸術論を展開し、人間の持つ生命力と創造性を訴え、その表現に挑み続けた。コマーシャルやテレビ番組にも登場し、独自の奇抜な発想はテレビを通して多くの人に「岡本太郎」という存在を知らしめることになった。1996年にこの世を去った芸術家 岡本太郎の作品を展示する美術館を今回中田が訪れた。

川崎市岡本太郎美術館

川崎市にある生田緑地は広大な敷地の中に数々の文化施設が点在する都市公園。その中に建つ「川崎市岡本太郎美術館」は、1999年に開館し、芸術家 岡本太郎の作品を収蔵・展示する美術館だ。岡本が80歳のとき、自身の作品を川崎市に寄贈したことから、その作品を後世に残し人々が鑑賞することかできる施設として設立された。収蔵されている作品は絵画、造形作品、写真など1700点を超え、常設展示室では岡本太郎の作品を年に4回展示替えをしている。

中田はひとつひとつの作品の前で解説を伺うことができた。「岡本太郎さんは、”侘び寂び”が好きではなかったのです。「日本には、それよりはるか昔に縄文という時代があったんだ!」と言っていました」絵画から感じられる力強さに、思わず引き込まれるようだと中田。
「座ることを拒否する椅子」という造形作品は、実際に座ってみることができるのだが…。「座るところが、顔になってる」「そうなんです。太郎さんは、「椅子というのは座りやすいような形をしているがそれは人間に媚びている!」と言って、この椅子を作ったんですね」椅子には目や口のようなものがあり、その姿はどこか愛嬌も感じられる。この他にも、美術館のシンボルタワーになってる「母の塔」をはじめ、数々の作品を目にすることができるのだ。

これからの芸術に向けて

企画展示室では岡本の作品のみならず、多くの芸術家の作品展が企画され展示が行われている。取材の際は、美術館にとって年に一度の大きなイベントともいえる「岡本太郎現代芸術賞展」が開催されていた。生前に岡本が著書の中で残した「時代を創造するものは誰か」という問いかけをコンセプトとして、プロ・アマチュアを問わずあらゆる創作活動を行う人々が応募できる公募展だ。従来の常識にとらわれず、自由な発想を持った芸術家たちが作品を発表するこの公募展は、現代芸術家の登竜門としても知られている。これからの時代を担う芸術家たちの作品もまた、実に独創的なものばかりだった。
豊かな自然に囲まれた「川崎市岡本太郎美術館」は岡本太郎の作品や多彩な芸術作品と出会うことができる。是非、足を運んでみてはいかがだろう。

ACCESS

川崎市岡本太郎美術館
川崎市多摩区枡形7-1-5
URL http://www.taromuseum.jp/
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