育て方で味が変わる「みやじ豚 宮治勇輔」/神奈川県藤沢市

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“みやじ豚”がおいしいわけ

臭みがなく、パクパクと口に運べる肉。脂身がクリーミーで上品な味だから、たくさん食べても飽きない。みやじ豚が作り出すのはそんな豚肉だ。どんな品種の豚なのだろうと思って聞いてみると「一般的な三元交配種ですよ」という。日本では一番数の多い、いわば王道ともいえる品種だ。

だけれども、確かにおいしい。そのわけは「血統、えさ、育て方」にあるという。なかでも特にこだわっているのが「育て方」。代表の宮治勇輔さんは「できる限りストレスを与えないで育てる。それがうちのこだわりです」という。

兄弟一緒に、みんな仲良く

群れをなす生き物はすべからく力で序列を決める。つまりケンカをして強い奴を決めるのだ。豚もその例にもれず、ひとつの小屋にたくさんの豚を入れると、序列ができるのだという。しかも、普通の養豚の場合は成長に合わせて4回ほど小屋替えをする。ということはつまり、4回もケンカのストレスがかかるということなのだ。
そのストレスをなくすために宮治さんは、ひとつの小屋は兄弟だけを入れて育てているというのだ。豚は1回にだいたい10匹の子豚を産む。その10匹のみを同じ小屋で育てる。これは効率から考えるとすごく非効率なことだ。
「20匹飼えるところで10匹しか飼わないんですから、経済的に考えればムダ。でもやっぱり必要以上のストレスがあってはかわいそう。それは味にも反映するんですよ」と宮治さん。
そして目が行き届く範囲でのびのびと育てる。それが味にでるのだという。

農家が活躍できる場を作りたい

宮治さんは養豚家としてお仕事をするかたわら、NPO法人「農家のこせがれネットワーク」の代表を務める。このNPOは文字通り、全国の“こせがれ”を集め、次世代就農者の連携をつくる活動だ。跡継ぎがへっている農家の現状を少しでも変えるために、新規就農者へも支援を行っている。宮治さんの言葉を借りれば「若いみんなで農業を盛り上げていこう」という活動だ。

「仲間を作ることで、喜びや苦しみを共にしようというネットワークですか?」と中田が聞くと、「それも大きな目的です。もうひとつ大きなものは異業種交流のネットワーク。農家だけで集まると、ついグチが多くなる。会社員のグチといっしょです。でもそこに異業種の人がいると、新しい商品開発などの話になるんです。そういう場を作るお手伝いができたらいいなと思って活動をしているんです」
宮治さん曰く、その土地土地で、適した作物や盛り上げ方などはまるで違ってくる。だから農業、畜産に決まった方程式はない。全国から集まる知恵と熱意が交わる機会、様々な話し合いができるような場づくりのお手伝いをしていきたいと語ってくれた。

ACCESS

株式会社みやじ豚
神奈川県藤沢市打戻539
URL http://www.miyajibuta.com/
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