チョコレートにこだわったパティスリージラフ
JR富山駅から車を走らせること約5分。現れたのは、西洋の気品薫るクラシックな建物。神通川沿いのうら道に入った場所に地元客の行列が絶えない人気パティスリー「パティスリージラフ」がある。
ショーウィンドー的なものはなく外からは中の様子が見えないため、一見何のお店かが分からない。隠れ家のような雰囲気にワクワクする気持ちをを感じながら店内に入ると、少し薄暗いが柔らかな照明の中にアンティークなインテリアが落ち着いた印象をつくり、東洋と西洋が融合したような、そんなクラシックで上質な空間が広がる。
「伝統と継承、それを踏まえ、そこにオリジナルを加えることによって、ここでしか味わえないものを目指しています」(オーナーシェフ 本郷純一郎さん)
素材は、フルーツピューレ、ショコラ、ドライフルーツ、スパイス、そして地元の美味しい果物や卵、ハーブなど、産地にこだわらず自分が気に入ったよいものを世界中から取り入れている。「パティスリージラフ」でしか味わえないお菓子がずらりショーケースに並んでいる。
特にこだわっているのは”チョコレート”。店内のほぼすべてのチョコレート菓子に、「ビーン・トゥ・バーチョコレート」が使用されている。カカオ豆からチョコレートになるまでのすべての加工工程を作り手が手がけるチョコレートのことで、2000年代の初めごろにアメリカで生まれ、2010年以降は日本でも増え始め、定着した製造スタイルで職人のこだわりがギュッとが詰まっている。特定の地域や農園で収穫されたカカオ豆のみを使うチョコレートと、数種類のカカオ豆を組み合わせて作るチョコレートをオリジナルで開発し、お菓子の方向性に合わせて使い分けているそうだ。
生菓子、焼き菓子ともに絶品のチョコレート
そんなこだわりのチョコレートを使った生菓子の中でもおすすめが、店名の頭文字”G”マークが印象的なPieger(ピエジエ)。”サクッ、ねとっ”とした食感と濃厚なカカオの風味が一気に広がり、最後にリキュールの香りが鼻を抜ける、大人な雰囲気の逸品だ。ビンテージポルトを加えたガナッシュとカカオ豆から作ったというねっとりとしたショコラ生地、そして、ドライ無花果をクタクタになるまで煮込んだコンポートとの組み合わせが計算し尽くされた味の複雑さを生み出す。いつまでも余韻に浸りたくなる、お店のスペシャリテだ。
また、焼き菓子の中でも食べておきたいのが、ガレットカカオ。こだわりのビーン・トゥ・バーチョコレートをメインに、深みのあるカカオ豆の余韻と、軽快な食感がクセになる厚焼きサブレだ。生地の中に粗く砕いたようなチョコレートが練り込まれており、サクサクした食感の中にもチョコレートの存在をしっかり感じられる大満足な一枚。焼き菓子はオンライン販売もしているので、大切な人へのギフトとしても抑えておきたい。
独自の味を追求するため、素材としてのチョコレートにこだわる本郷さん。本郷さんが作り出すお菓子は、どれも美しく、芸術的なフォルムで彩られ、何度でも通いたくなる魅力が詰まっている。富山の隠れ家パティスリーが作る”本物のチョコレート”を味わいにぜひ足の延ばしてみてはいかがだろうか。