富山県砺波市。屋敷林に囲まれた家々が点在する「散居村」が広がっており、その景観は日本の農村の原風景とも言われ、なんだか温かく懐かしさを感じさせる。豊かな水田が一面に広がるこの地に、和モダンで小粋な店構えながらもスッと町に溶け込む建物がある。それが「手打ち石臼挽き蕎麦 福助」だ。
古民家をリノベーションしたというそれは、情緒ある雰囲気と開放的な高い天井で、温かな居心地の良さを感じさせる。店内に飾られている店主こだわりの民芸品の数や、座敷の前に広がる日本庭園を眺めながら、のんびりと穏やかな気持ちで過ごすことができる。
「福助のこだわりは、富山県の在来種の蕎麦の実を使った手打ち蕎麦と良質な井戸水、天然の素材を使用した出汁です。」
毎日必要な量だけ前日に石臼挽きした自家製粉を使用し、加えて、蕎麦の風味や香り、食感を味わってもらうため、季節や玄蕎麦の個性に合わせそば切りしているという徹底ぶり。だが、この手間こそが、店主の思いが溢れる味わい深い逸品へとつながるのだ。