季節を描いた友禅 「染織家 柳澤保範」/長野県長野市

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着てほしい季節を想像する。

長野市で着物の染織作品を制作している柳澤保範さんは、染織の世界に入ってからすでに50年が経つという。東京に生まれ、長野で育ち、東京での染織の修行の後、長野にて染織を始めた。
地元の染織職人は下請けの仕事をすることが多かったことから、自分たちの作品をもっと作り出すために仲間を集めて定期的な展示会を催したり、日本伝統工芸展への作品発表を行ってきた。

「作るときには、着てほしい季節をイメージしてからデザインにとりかかる」というのが、柳澤さんのモットー。図案を考えるのが、一番難しいと語る。そう聞いて、「ずっと籠っていると、煮詰まってきませんか?」と質問した中田。
そういうとき、柳澤さんは俳句をしたためたり、趣味の写真を撮りに出かけるのだそうだ。

大切にする自然との対話。

遊びが多くてなかなか仕事が進まないと照れ笑いをする柳澤さんだが、じつはその「遊び」のなかにこそ、柳澤さんの染織の秘密が隠されていた。柳澤さんの撮った写真のなかには、くっきりと季節が写し取られていたのだ。
「写真を撮るためにどこか旅行にいくのですか?」と中田。柳澤さんは「この近所が好きで、このあたりをいつもまわっています。自然も多いし、とてもきれいです。」そう話してくださった。

柳澤さんの好きな季節は花の咲く季節。着物のなかの花は、特徴を捉えて描き、小さく見ながらも大きく全体見て作るのだという。広げられた着物には、柔和な色遣いの中にしっとりとした「美」があった。柳澤さんの染織の美しさは、長野の季節を表しているのだ。

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染織家 柳澤保範
長野県長野市
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