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琉球王朝の時代から愛用されている芭蕉布
亜熱帯気候である沖縄は、染料の原料となる植物が豊富なことや、水質によって発色が豊かなため、琉球絣、久米島紬、芭蕉布、宮古上布、八重山上布、ミンサーと、染物が発達している。
13世紀ごろにはすでに作られていたという芭蕉布は、昭和49年に国指定の重要無形文化財の総合を指定を受けた。かつて、柳宗悦氏に「これほど美しい布はめったにない。(芭蕉布物語)」という評価を受けたほど。
庭先や畑に植えられた芭蕉から繊維を採取し、丁寧に織り上げられる布は、風通しがよく、琉球王朝の時代から人々に愛用されいる。
芭蕉布の作り手として
制作作業を見学させていただいたのは、2006年に人間国宝に認定されている平良敏子さん。
沖縄の大宜味村喜如嘉に生まれ、母親から芭蕉布の製織を学んだ。岡山県倉敷で民芸運動家・外村吉之介に師事したあと沖縄に帰郷、芭蕉布を研究・制作し、途絶えていた技法を復興。絣の意匠や藍染などに現代感覚の作風を確立し、芭蕉布の再興に尽力してきた。
その昔ながらの製法を守って芭蕉布を作り上げていく姿に、“伝承する”ということの大切さを感じる。