“もういっこ”食べたくなる「JAみやぎ亘理 いちご農家」小野清一さん/宮城県亘理町

“もういっこ”食べたくなる「JAみやぎ亘理 いちご農家」小野清一さん/宮城県亘理町

東北一のいちごの産地

いちごの名産地といってすぐに頭に浮かぶのは、やはり栃木県だろうか。たしかに収穫量、出荷量ともに全国1位。それに続くのが、あまおうで有名な福岡県や、ひのしずくの熊本県といったところ。宮城県は全国で10位(2023年)。さまざまな果物が東北では栽培されているので、いちごが全国で10位というのはちょっと驚きかもしれない。いちごの生育には厳しい寒さは向かないというのもその原因のひとつ。宮城県内で、いちごの生産がもっとも盛んなのが亘理町、山元町だ。あまり特産のなかったこの地域にいちご栽培が始まったのが約50年前。現在ではこの地域一帯は、東北一のいちごの産地だという。
宮城のいちごで今注目されているのが「もういっこ」という宮城県特産のブランド。静岡の品種と佐賀県の「さちのか」を合わせて作った品種だ。

浜風が“もういっこ”を美味しくする

「さちのかは佐賀県の品種。佐賀県の地形から考えると、海沿いの品種っていうことも言える。それがここの海沿いの地形と合ったといわれているんです。成功の秘密は浜風にあったんじゃないか、とね」
そう話してくれたのはいちご農家の小野清一さん。宮城県産のブランド「もういっこ」は、甘味と酸味のバランスがいいのと、きれいな赤色が特徴の品種。成功のうらには浜風。宮城県亘理町と佐賀県。地図のうえでは遠く離れているが、「いちご」というところでつながるとは誰が想像しただろうか。

いつまでもこの仕事をしていたい

小野さんがハウスを持つ亘理地区は、東日本大震災の津波の影響を大きく受けた。残念ながら、沿岸部の平野は壊滅的だったといってもいい。230軒あったいちご農家は、2012年11月の時点で再開できたのが約60軒だという。小野さんの持っていた3軒のハウスも津波によって流されてしまった。
復興交付金で新たなハウスを立てることができたが、それまではタクシーの運転手など、農業とは別の仕事もしたそうだ。
「でも、農業は自分に合っているんです。サラリーマンは合わないからなかなか大変だった。それでも働かせてもらったことは感謝しています」とそのときのことを振り返る。これからもずっと亘理の地で農家をやっていきたい。その気持ちを新たにし、ハウスではいちごを高い位置に作付するベンチ栽培をしている。露地栽培だと、腰をかがめなくてはいけないので体への負担が大きいのだ。
「オヤジが80歳でしょ。曲がった腰でもいちごが採れる。親子で長くいちごを作っていきたい」と、赤く色づき収穫を待ついちごを眺めて話をしてくれた。

ACCESS

JAみやぎ亘理
亘理郡亘理町逢隈田沢字遠原36
URL http://www.jawatari.or.jp/