那智黒石で作られる「皇室献上硯」山口光峯堂/和歌山県那智勝浦町

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書道家に愛される那智黒石の硯

その昔、熊野詣に訪れた旅人たちは、旅の証としてこぞって那智黒石(なちぐろいし)を持ち帰ったという。この石は熊野市神川町で産出される鉱物で、磨くと光沢を帯び黒く光り輝き、ほかの宝石にはない静謐でしっとりとした美しさを放つ。
現在、那智黒石は、自然のまま庭石などに使われるのはもちろん、碁石や那智黒手磨き工芸品と呼ばれる置物などの成型品として売られている。そのなかでも有名なのが硯(すずり)。
緻密な石質と適度な硬度がバツグンの「摺り心地」をもたらし、多くの書道家たちに愛されているのである。

一度摺れば分かる特別な那智黒石の硯

今回訪ねた「山口光峯堂」は、皇室献上硯も作っているほどの名店だ。2代目・山口光峯さんによると、本物を作っているところでは必ず試し摺りをさせてくれるという。そして、一度摺ってみれば絶対に違いがわかる、とも。
中田も試し摺りから始まって、硯づくりのイロハを教えていただいた。最後には、「英寿」の名前入り・那智黒石のキーホルダーまで作成し、古の旅人たちに習って熊野詣の証とさせてもらった。
不思議なことに、墨は摺っているだけで心が落ち着いてくる。そのうえ、那智黒石でできた山口光峯さんの硯は、どれもが本当に美しい。昔はたしなみの1つだった書を、この機会に始めてみるのもいいかもしれない。

ACCESS

那智黒硯 山口光峯堂
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山167-2
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