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伏見の地に息づく酒造り
松本酒造のある京都の伏見は、兵庫の灘などとならび、全国に名の知れた酒どころ。とくに幕末から明治、大正を通じて酒造業が隆盛し、現在でもそのころからの酒蔵が多く軒を連ねる場所だ。
松本酒造も創業1791年という老舗である。老舗だけあって、建物も古くて風情がある。大正期に建設された酒蔵と、赤いレンガの倉庫、八角形の煙突は、「伏見の日本醸造関連遺産」として、経済産業省の「近代化産業遺産群」に認定されており、風格たっぷり。「近代化産業遺産群」とは、日本の産業近代化に貢献した文化遺産を経産省が33の群に分けて選定するもので、2007年にスタートされた。松本酒造も進取気鋭の心を持ちつつ、常に時代の先をいく技術を取り入れてきた。それが評価されての認定だ。
澄んだ水で作られる日本酒
そんな歴史ある松本酒造の造る銘酒「桃の滴」は、米と水にこだわりぬいた酒。コクがありつつ、果物のような香りがすっきりとした呑み心地を誘う逸品である。伏見は昔、伏水とも書いた、澄み渡った水のでる街。松本酒造はその地で、伝統を守り、かつ先を見据え、酒を作り続けている。