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発展を続ける香りの文化「お香」
1705年に「笹屋」という屋号で暖簾をあげてから、300年以上ものあいだ、京都の街でお香を作り、販売し続けている「松栄堂」。仏壇に供える香やお葬式での焼香に使う香、あるいは香道や茶の湯の席での香はもちろんのこと、衣装に焚きしめる香、ルームフレグランス……と、趣味の場から生活の場、あらゆるシーンで使われている。
香は、飛鳥時代、仏教の伝来とともに中国から伝わってきたというが、平安時代になると貴族を中心にひとつのオシャレとして広まった。それが鎌倉、戦国と時代が下るにつれ武士階級にも広まっていく。当時の人々が使用したのは、「香木」がメインである。今のような線香が広まったのは、じつは江戸期に入ってから。中国から製造技術が伝わり、庶民の間でも香文化が広く受け入れられるようになった。
奥深い香りを広く知ってもらうこと
松栄堂ではお線香はもちろんだが、香木も取り扱っている。その種類は、代表的な沈香(ぢんこう)や伽羅(きゃら)から、薬用として利用されるような植物までさまざま。中田も香木を拝見し、香りをかがせていただいた。線香の煙からただよう香りとはまた違った、奥深い香りである。
松栄堂では、明治30年にアメリカへ商品を輸出、昭和9年にはシカゴの万国博覧会に出展している。平成に入ってからは、アメリカ松栄堂を設立するなど、海外へ「和の香り」を広めている。フレグランスやアロマなど、香りへの関心は高まる一方だが、古くから伝わる「和の香り」もなかなか捨てがたい。
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千家に納める茶杓をつくる「柄杓師 黒田正玄」/京都府 – NIHONMONO
茶道の歴史を支える千家十職 「黒田正玄(くろだしょうげん)」という名は、千家十職(せんけじっしょく)のひとつで