越前和紙にとって大切な神社
越前和紙の特産地として有名な、福井県越前市。この地方に紙漉きの技術を伝えたのは、神のお告げがあった為だという伝承が残っている。その製紙の祖神「川上御前」をお祀りしているのが「岡太(おかもと)神社 大滝神社」だ。 中田が訪問させていただいた、「下宮本殿拝殿」は国の重要文化財に指定されている建築物。本殿には中国の故事を模った彫刻が施されており、檜の樹皮を使用した檜皮葺(ひわだぶき)屋根に、傾斜をつけた飾り屋根が重なる。堂々とした姿は、紙の一大産地として躍動した時代を感じさせる。 「岡太神社 大瀧神社」のご本尊は裏手にある大徳山の山頂付近、「奥の院」に祀られている。養老3年・719年、布教に訪れた泰澄(たいちょう)大師がこの山頂付近に、霊山・白山を臨むことが出来る場所として修験道を開き、大滝児大権現と称した大滝寺を建てた。その大滝寺が、大瀧神社の前身なのだ。
お祭りに残る紙漉きの文化
年に2度、春と秋に行われる例祭では、ご本尊が「奥の院」から神輿に担がれ「下宮」に下りてくる。約1300年続くこのお祭りは、地域の大切な行事と考えられており、神仏習合の文化を色濃く残すことから福井県無形民俗文化財に指定されている。 お祭りではこれもまた珍しい、川上御前が紙漉き(かみすき)を伝えた所作を表現した「紙能楽」「紙神楽」といった舞が奉納される。 「大瀧神社・岡太神社の春祭り」は、毎年5月3日から5日の3日間に行われている。折しも、世の中はゴールデンウィーク期間。越前和紙の発展を支え続けた神社に、足を運んでみるチャンスではないだろうか。