赤褐色で統一された美しい街「吹屋ふるさと村」

赤褐色で統一された美しい街
「吹屋ふるさと村」

赤の町並み

岡山県の中西部、標高550mの山嶺に、赤褐色で統一された見事な街並みがある。赤銅色の石州瓦に、これまた赤褐色のベンガラ格子の商家・町屋がズラリと立ち並ぶ。高梁市成羽町にある「吹屋ふるさと村」だ。
ここは、江戸から明治にかけて、中国地方随一の銅山町として栄えた街。江戸末期からは、鉱山からの副産物であるベンガラという赤色顔料の日本唯一の製造地としても繁栄した。吹屋の街並みがすごいのは、旦那衆の相談のもと、石州(島根県)から宮大工の棟梁たちをわざわざ招いて、街全体を統一したコンセプトで建てたこと。
たんに古い建物が残っているだけというのとはわけが違う、なんとも先進的で画期的な街づくりなのだ。
その美しさは、横溝正史の「八つ墓村」や「獄門島」、「裸の大将」などの映画ロケ地として採用されたことからも分かる。昭和52年には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、今も変わらず当時の街並みが保存されている。

ライトアップされた木造小学校

中田が吹屋ふるさと村に到着したのは、陽が落ちてから。残念ながら、街並みを心行くまで眺めることはできなかったが、ライトアップされていた吹屋小学校はかろうじて見ることができた。吹屋小学校は、なんと日本最古の現役木造校舎。県の重要文化財の指定を受けた建物だ。日暮れから午後9時まではライトアップされ、その荘厳でノスタルジックな感じは一見しただけでは校舎には見えないほど。100年近く前の建物がまだ現役で使用できるということは、いかに良質な部材を用いて建築されたかを物語っている。この小学校は、まさに吹屋の最盛期に建設されたものなのだ。そのため集落の規模に比して建物も大きく、折上式天井などの贅沢な意匠を持っており、吹屋を代表する建築物である。2009年度の全校児童はわずかに5人だが、学校では児童や保護者、PTAのOBが協力して、毎年、地区内の観光・歴史スポットを丁寧に掘った版画カレンダーを制作するなど、地域に根ざした活動をおこなっている。

ACCESS

吹屋ふるさと村(吹屋小学校) 
岡山県高梁市成羽町吹屋838-2
URL http://takahasikanko.or.jp/modules/spot/index.php?content_id=21