美しい「茶道」を鑑賞する小堀遠州流·小堀宗圓さん/東京都

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千利休以後のふたつの茶の道

茶の湯といえば千利休。彼によって大成された茶道は江戸時代に入り、大きくふたつの道にわかれていく。ひとつは千家3代の宗旦が広めたわび茶。祖父である利休の道をさらに発展させたスタイルだ。
そしてもうひとつが、利休の弟子のひとりである古田織部の茶の湯を継承した「きれいさび」といわれる茶道だ。きれいさびとは、その名のとおり、わびさびの世界に、美しさや豊かさを加えて、調和の美を目指した茶道のことだ。江戸時代の大名である小堀遠州がその茶道を発展させ、現在にまで受け継がれている。今回お伺いしたのは小堀遠州流第16代家元である小堀宗圓さんだ。
中田とスタッフ一行が到着すると、まず寄り付きというところに通される。そこで身支度をして迎えを待つ場所だ。本当の茶会でも、ここで足袋を履き替えたり、荷物を整理したりする。
お湯で口をうるおして、手元の鐘を人数分たたくように言われた。これは、客人をもてなすために裏に控えている人が人数を確認するためだそう。もともと聞いていた人数と鐘の音が違うと、「どなたか来れなくなってしまったのだな」とわかるというわけだ。

いざ、お茶の席へ

ここからは迎えの方に案内され、露地を通り、いざ茶室へ向かう。茶室に最後の人が入ったら、パタっと音を立てて閉める。準備ができたらエヘンと声をたてる。これは亭主に客人の準備が整ったことを伝える合図。
その声で小堀宗圓さんが登場する。茶碗をあたためて、お抹茶を入れる。それをならし、釜の湯を一度まぜてから、茶碗に湯をそそぐ。少し茶を練り、もう一度お湯を注ぐ。そして最後にもう一度練る。その動作は流れるようで、優美という言葉がぴったり。思わず見とれてしまう。
お茶碗が目の前に来たらまずは膝のまえにそれを置く。そしてふくさを左手に持ち、その上に茶碗を乗せて目の高さでお茶碗のなかを見る。ワインを飲む時に、まず色を鑑賞するのに似ているかもしれない。そして、ゆっくりとひと口いただく。
「お湯加減はいかがですか?」
「結構です」
3口半で飲み終わったら、お茶碗を畳に置き、紙でふく。そしてふくさを横に添える。

気楽に参加できる茶道へ

お茶会が終わり、リラックスしてのお話へと移る。中田の第一声。「やっちゃいけないことがあるんじゃないかとドキドキしてしまいました」。
その言葉を聞いて微笑みながら小堀さんは「そんなことはないんですよ。普段の生活通りでいいんです」という。
「お茶会には懐紙、お菓子をいただくための楊枝、ふくさ、ハンカチ。この四つを持ってくれば大丈夫。ほかには何もいらない。男性だとスーツで茶会にいらっしゃる方も多いですよ。だから、そんなに気を張らないでぜひ参加してみてほしい」
茶道というと、あまり馴染みがない人にとっては敷居が高いというイメージがある。しかしお茶の味とともに、この洗練された空間は一度味わうと気持ちよさに虜になってしまうかもしれない。
また、お茶の席は道具の素晴らしさを鑑賞する席でもある。緊張のとけた中田は風炉先に目がいく。「今日はお客様に合わせて熊野速玉大社からいただいた風炉先使用しました」。そういった心遣いがあることにも茶道の楽しさはある。

ACCESS

小堀遠州流 茶道 松籟会
東京都
URL http://koborienshu-ryu.com/
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