能登杜氏という酒の匠
江戸時代後期に生まれ、もっとも酒造技術に卓越しているともいわれる、能登杜氏(のととうじ)。その伝統を受け継ぎ、最高峰の技術を持ち「能登四天王」などとも称される杜氏がいる。その四天王のうちの一人、三盃幸一(さんぱいこういち)さんが杜氏を務めるのがここ桝田酒造店だ。 能登杜氏の醸す酒の特徴は、味が濃くしっかりとしていること。 桝田酒造店の主力ブランド「満寿泉」も、その特徴がよく出ていて、厚みのある味とどっしりとした香りで人気を博している。
蔵人との「和」
三盃さんは父も祖父も杜氏という、いわば杜氏のサラブレッド。それだけに、杜氏のつらさもよく知っている。「27歳で初めて杜氏として雇い入れてもらいました。よく若い私を雇ってくれたと今でも感謝しています。」そう話す。 三盃さんが大切にしていることは蔵人との「和」だという。「我々の技術は、時代を超えて滔々と流れるものです。」現在は杜氏の座を譲られたが、その技術は確実に受け継がれているのだ。
日本酒の幅を広げる
桝田酒造店の当代 桝田隆一郎さんに蔵を案内していただく中田。 「シンプルな造り方で、こんなに美味しい酒ができるのだから、みんなでやろうと声をかけています。もっと日本酒の幅を広げたい。」そう言って薦めていただいたのは、貴譲酒。
一般にはそこまで多く飲まれていないものの、深みのある濃厚な味わいにファンが増えている。
「多くの酒造を巡られて、蔵元も色々な人がいておもしろいでしょう。私も北陸の酒造めぐりなんかやります。」そう話す桝田さん。桝田酒造店では、富山の工芸家の作品を積極的に取り入れ、地元の魅力をたっぷりと感じられる店舗も展開されている。