自然の魅力を彫り出す「一位一刀彫 伝統工芸士 和仁久幸」/岐阜県高山市

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イチイの木の色合いを生かす。

岐阜県の飛騨地方の伝統工芸、「一位一刀彫」。一位一刀彫で使用する木は、その名のとおりイチイの木。
イチイの木は、幹が白い部分と赤い部分にくっきり分かれている。その色合いをそのまま活かすように彫り上げるため、余計な染色は一切ほどこさないのが一位一刀彫の特徴だ。
江戸時代の末期に、江戸で活躍していた根付彫師の平田亮朝(すけとも)とその弟子である松田亮長(すけなが)が始めたといわれている。

最初は亀や蛙、鳥といった小動物の根付を作っていたといい、シンプルな面と線だけで印象的に彫ったものと、写実的なもの、ふたつの系統の作品を残している。その後、一位一刀彫は発展を遂げ、現在はお面や仏像など、幅広い作品が作られるようになった。

表情を彫りこむ。

中田がお話を伺ったのは、16歳のときから一位一刀彫の世界に入った伝等工芸士・和仁久幸さん。和仁さんの作品は、やさしい笑顔を持ったものが多いことが特徴で、その表情を気に入って持ち帰るお客さんも多い。
1975年に通産省に伝統工芸に認定された一位一刀彫。自然の美しさを活かして、人間が命を吹き込む。そんな伝統工芸だ。

ACCESS

伝統工芸士 和仁久幸
岐阜県高山市森下町1-296-6
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