現代陶芸を知る。
茨城県陶芸美術館は、東日本で初めての陶芸専門の県立美術館として2000年に開館した。茨城県といえば笠間焼という有名な焼き物がある。その歴史と変遷などを紹介した展示室があるほか、近代陶芸の祖といわれる板山波山の作品や、地元笠間出身の重要無形文化財保持者(=人間国宝)松井康成の作品など国内の著名な作家の作品がずらりと並ぶ。
それに加えて若手作家の作品まで、ジャンルを問わずに多くの作品を所蔵し展示しているので、現代陶芸を一望できるといっても過言ではない美術館だ。
ガラスのなかの作品。
実はこの美術館の館長を務める金子賢治さんは、中田とかねてより関係がある。中田が代表理事を務めるTAKE ACTION FOUNDATIONの2010年のREVALUE NIPPON PROJECTに参加いただいた方なのである。昨年「中田英寿、現代陶芸と出会う」という企画展を開催させてもらった美術館でもある。そのご縁で、この旅においても、次の県へ行くと決まったらすぐにお話をして、訪問すべき作家を紹介してもらっている。 今回は金子館長に美術館をご案内していただいた。これまでの旅で直接お会いした作家さんの作品も多数あった。ガラス棚に展示品として並び、評論家の話を聞きながら眺める作品は、いつも作家の話を聞き手に取りながら見る作品とはまた違った印象を受けた。
玄関には中田の作品が!?
入口をくぐると出迎えてくれたのが、一昨年にREVALUE NIPPON PROJECTで中田が奈良美智さん、植葉香澄さんとともに制作したUFO鍋だった。自分が制作に加わった作品が玄関からすぐのところに飾ってあるというのはどんな気分だったのか、中田は驚きとともに、うれしさがにじみ出ている表情だった。
また、こちらの美術館では2012年6月10日まで、「REVALUE NIPPON PROJECT」展が開催されている。2010年の「陶磁器」と2011年の「和紙」をテーマとした、工芸家のコラボレーション作品と、「中田英寿、現代陶芸と出会う」展で紹介した作品から、作家の普段の作品を選び出して展示している作品展だ。