知多半島の醸造蔵。
愛知の味噌といえば、岡崎の八丁味噌が有名。だが、愛知の赤味噌は岡崎だけではない。ここ、知多半島にも美味しい赤味噌を作る蔵がたくさんあるのだ。 「伊藤商店」がある知多郡武豊町には、かつて50軒ほども醸造蔵があったという。 その名残をとどめるのが、「みそ蔵の小径」。味噌・たまり蔵の佇まいをたどる散策路で、武豊町観光協会のHP(http://taketoyo.info/guidebook.php)から、散策路の地図もダウンロードできる。黒板塀やレンガ造りの建物が並ぶ醸造蔵の周囲は、しっとりした趣きがあって散策にはぴったり。 全部で30分ほどのルートなので、のんびり街並みを楽しむのにはうってつけである。
絶品の“たまり”を作る。
その一角を占める「伊藤商店」は、創業200年を誇る老舗の醸造蔵。初代の名を冠した「傳右衛門味噌」と「傳右衛門たまり」が主力商品だ。 昔ながらの製法にこだわり、味噌やたまりの熟成期間は杉の桶で3年間。なかでもたまりは、豆味噌と同様に発酵させたものを絞って作るため、3年間も熟成させるのに、出来上がるのはわずかな量しかない。なんと、絞る過程で豆味噌の約1/4にまで濃縮されてしまうのだ。
熟成期間が長いため、「傳右衛門たまり」はまろやかで濃厚な旨みが特徴。たまりは、醤油とは少々違って照りと甘みがあるため、刺身醤油として使われることが多いが、煮物や炊き込みご飯、照り焼きなどに使っても、料理の味が一層引き立つ。 いつもの家庭料理にプラスしてみてはいかがだろうか?