岩手で一番寒いところに住む牛「酪農家 三谷剛史」

岩手で一番寒いところに住む牛
「酪農家 三谷剛史」

傾斜を利用した広大な牧場

岩手県の北部に位置する二戸郡。岩手県の中でも一番寒い地域ともいわれるこの地で酪農を営む、おさんぽージャージー三谷牧場 三谷剛史さんを訪ねた。
まず目を引いたのはなだらかな傾斜。まだ雪解けの季節だから放牧をすることはできないということで、そこを闊歩する牛たちを目にすることはなかったが、ここを何頭もの牛が歩いていると想像するだけでも、胸がスーっとおだやかになるような牧場だ。
その牛たちは現在は牛舎にいるということで、三谷さんに牛舎に案内いただいた。牧場の牛というと白と黒の模様をしたホルスタインを思い浮かべるが、そこにいたのは薄い茶色をした牛たちだったのだ。

ジャージー牛ってどんな牛?

この牛はジャージーという品種。ホルスタインよりひとまわり小さく、三谷さんによれば岩手のように傾斜のある土地にはジャージーのように軽い牛が適しているということだ。
「ジャージーはもともと痩せた土地でもよく乳が出るということで輸入されたんです。ホルスタインは大きいので歩くのが苦手というか。北海道のように広くて平らな土地ならホルスタイン。岩手の土地はジャージーがぴったりなんです」
三谷さんはもともとこの場所に牧場をもった家に生まれたわけでなく、2000年に新規就農としてこの土地に来た。東京農大を出てやはり「作る仕事がしたい」と日本中を歩き回ったという。そこで見つけたのがこの場所だったそうだ。最初は5頭という少ないところから始め、じっくりと時間と手間をかけて牛を育ててきた。
「寒すぎても、牛に影響はないんですか?」と中田が質問する。「それが、ないんです。与える水は湧き水なので年間を通して一定の温度ですし、夏にはよく食べてよく運動するから健康になる。冬は寒いので病気もなく、丈夫な牛に育ちます」そして、健康な牛からとれる牛乳は味わい深く爽やかな味がするのだという。

さわやかな味の牛乳

ジャージー牛は広く世界で飼われているが、濃厚な乳質や脂肪球が多いことからバターなどの加工品を作るうえで重宝されている牛だ。三谷さんもこだわりの加工品を作っている。
「乳がとてもさわやかな味なんです。だからフロマージュやモッツァレラチーズなどすごくシンプルなものを作っています。あとはお客様のご要望やご注文にできるだけ応えるように作っています」
ほかにもこれから作っていきたい製品はまだまだあるといって試作品も食べさせてくれた。

今後の目標はと聞くと、「もっと管理の精度をあげていきたい」と話してくれた。簡単に牛の頭数を増やすことはできない。牛にとってもそれはいいことではない。生の牧草を食べるのでもっと農場の草にもこだわりたいとのことだ。今は量よりもクオリティをアップさせたいと語ってくれた。
シンプルな商品は牛乳の味によって決まる。すべては健康な牛によって決まる味なのだ。

ACCESS

おさんぽージャージー三谷牧場
岩手県二戸郡一戸町奥中山西田子1276
URL http://mitani.pinoko.jp/