「森奈良漬店」は、本格的な奈良漬を作り続ける老舗の奈良漬専門店です。
素材にこだわり、手間と時間を惜しまず丹念に漬け込んだ奈良漬には素材本来の旨みが凝縮。
定番から季節商品まで、多彩な奈良漬をそろえています。
奈良漬の始まり
「奈良漬」とは、塩漬けした野菜や果物を酒粕の中に漬け込んだもので、べっこう色のビジュアルと強いアルコールの風味がインパクトのあるお漬物だ。
今から1300年以上前にお酒の原型になった「どぶろく」の中にお野菜を漬けて保存食にしたのが、始まりだとされている。奈良時代はお米で作るお酒自体が高級品で、平城京の貴族らによって食されていたという資料が残る。その後、室町時代に奈良でも清酒の作り方が確立されると「酒粕」に漬け込む製法に変わり、江戸時代末期には商品として販売されるようになった。当時は奈良のお酒が美味しいという評判が観光客を呼び、訪れた際のお土産として親しまれた。その時に地名を冠した呼び方である「奈良漬」というのが広まり、今に至るといわれている。
このように奈良漬は奈良の伝統的な食品として発展してきた。明治2年創業の「森奈良漬店」も、こうした奈良の清酒文化から始まった奈良漬づくりの伝承者の一人である。東大寺南大門の門前に店を構え、今でも観光客のお土産としてや地元の人のご飯のお供としても愛されている。
奈良漬の作り方
一般的な漬物と同様、最初は塩だけで漬け込み、野菜の中の水分を抜いていく。十分に水分が抜けると、次に酒粕に漬ける。酒粕に漬けると塩が抜けていい具合に酒粕の味がしみ込んでいく。酒粕を取り変える工程を2回以上繰り返す。ちなみにこの工程が1回だけのものは「粕漬け」と分類される。漬け込むたびに酒粕のブレンドを変えて熟成させると、色も風味も味わい深いものになる。酒粕を取り換える回数はその店ごとに違い、踏み込む作業、漬け替えるタイミングはすべて職人の長年の勘で、ひとつひとつ丁寧に手作業で行う。
森奈良漬店の特徴は、塩と酒粕以外は一切使わないことだ。酒粕は漬ける素材によるが、5回程取り換える。他の奈良漬と比べ、塩分が2‐3%と低く、アルコール分が6‐7%になっている。そのため酒粕独特の風味や香りをしっかりと楽しむことができる。ゆえに少し辛めで、ご飯や日本酒によく合うのだ。「大和三尺きゅうり」という大和の伝統野菜の奈良漬に挑戦したり、昔の甕で漬け込んでみたり、受け継がれてきた伝統の製法を守りながらも新しいことへの挑戦は絶えない。食べ方は表面の酒粕を水で洗い流してしまいがちだが、酒粕の風味や香りが一緒に落ちてしまうので拭き取る程度にしておくのが良いとされている。また、お酒の風味がきついと感じるときは、切った後に冷蔵庫で半日ほど寝かせると、アルコールが発散して酒粕本来の甘みが増し食べやすくなる。
世界へ奈良漬を届ける
この伝統食品をいかにブランディングし、特に奈良漬を食べない若者たちに広めていくのか、5代目森麻理子社長は、女性ならではの視点で試行錯誤している。
すでに実行中なのが、奈良漬を使った新しいアレンジレシピを紹介する取り組みだ。「とろとろチーズの奈良漬トースト」「奈良漬の酒かすドレッシングでカルパッチョ」「奈良漬ソースdeチキンハンバーグ」などをホームページやSNSで公開。今までの奈良漬のイメージを一新しようと奮闘している。また、この様な取り組みに加えて、発酵食品全体がいかに美容に効果的であるかなどもメディアを使ってわかりやすく発信して、広く奈良漬を知ってもらう活動を進めている。森さんの発信する新時代の奈良漬が、日本を飛び出し、世界の幅広い世代の人に注目される日もそう遠くないかもしれない。
弊店の商品は一般的な奈良漬と比べて塩分濃度が2〜4%と低く、アルコール分が6〜7%とやや高いことも特徴です。このため、塩分が低めでも保存性がよい漬物に仕上がっています。残った酒粕まで活用できるのも魅力的な本場仕込みの奈良漬を、ぜひご賞味ください。