高知県土佐市にある農林水産大臣賞も受賞した、知る人ぞ知る鰹節製造会社。
鰹節作りの伝統は土佐市から広がったといわれており、
鰹節作りの元祖の地で土佐節の味を守っている。
高い品質で勝負する竹内商店の伝統の鰹節
鰹といえば高知、高知といえば鰹ということで、土佐市にある竹内商店へ。ここは2012年の全国鰹節類品評会で農林水産大臣賞も受賞した知る人ぞ知るかつお節製造会社。その名は、日本全国に知れわたっていて、ここの鰹節が放つ出汁の味を求めて指名買いする料理人も多いという。
「鰹節といえば、高知と鹿児島が有名ですが、生産量は圧倒的に鹿児島が多いんです。国内産のかつお節の74%が鹿児島産、25%が静岡産。高知産はわずか0.6%にしかすぎません」(竹内商店 竹内太一専務)
まさに量より質。伝統の技法を守りつつ、高い品質と味の追及を惜しまない。鰹節作りの元祖としてのプライドが感じられる。
伝統の鰹節とその作り方
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「鰹節作りの伝統は、土佐から広がった。枕崎に移住して技術を伝えた方々も多く、少し前まで枕崎では土佐弁が使われることもあったそうです」(竹内専務)
量が少ないのであれば、質にこだわった土佐節を作るしかないということで、竹内商店では昔ながらの味、色、形にこだわったかつお節を作り続けている。そのレシピはこだわりそのものだ。
鰹節には、「荒節」と「枯節」、そして「本枯節」といった種類がある。茹で上がった鰹から1本1本骨を抜き、それを1ヶ月ほどかけて燻して鰹の身が焦げたような黒色になった状態が「荒節」。通常販売されているのがこの「荒節」だ。それを「ムロ」といわれるカビ付けを行う部屋で発酵熟成をし、天日干しで乾燥させたのが「枯節」。しかし、竹内商店で作られる鰹節は、このカビ付けから天日干しの工程を繰り返し、完成までに半年近くかける。こうしてつくられるのが、旨みとコク味がたっぷりのった「本枯節」なのだ。
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多くの料理人から注目されています"
「伝統を守るということより、いかにおいしいかつお節を作るか。“本物”だから、手間ひまをかけて作っているから、それでいいとは思っていません」(竹内専務)
いまや世界から注目されている日本食。鰹節の旨みは、その日本食の歴史の根幹にあると言っていいだろう。 “本物”の味を守る人々が日本食の根底を支えているのだ。
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伝統を守るということ以上に、いかにおいしい鰹節を作るか、ということを大切にしています。本物だから、手間ひまをかけて作っているからそれでいい、とは思っていません。純粋に鰹節を味わっていただければうれしいです。
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