愛されるケーキ屋「エーグルドゥース」
目白のケーキ店『エーグルドゥース』は常に多くの客で賑わっている。店内には大きなガラスケースがあり、ショートケーキ、モンブラン、シュークリーム、ミルフィーユなど、“おなじみ”のラインナップからオリジナルの種類も豊富なケーキ、パウンドケーキに焼き菓子、マカロンなど、とてもたくさんの商品がある。オシャレな外観と大きなウィンドウ、カラフルで美味しそうなお菓子が沢山並んでいる店の雰囲気は、ヨーロッパのスイーツショップのようだ。
「近所の人が散歩の途中に寄ってくれるような店が理想。おじいちゃんおばあちゃんから小さな子どもまで、みんなに愛されるケーキ屋を目指しています」(パティシエの寺井則彦さん)
日本で修行したのち渡欧。フランスやベルギーの店で腕を磨き、製菓学校の名門「ル・コルドン・ブルー」の講師として帰国。その後、「オテル・ドゥ・ミクニ」でパティシエをつとめていた寺井さん。オープンは2004年。「エーグルドゥース」の意味は、フランス語で「甘い、酸っぱい」だという。
こだわりが詰め込まれた洋菓子
中田英寿は、年に数回「どうしても食べたくなって」、この店のショートケーキを購入する。一見、普通のケーキ屋さんだが、素材選びから製法まで、エーグルドゥースのケーキには、並々ならぬこだわりが詰め込まれている。
「モンブランはふわふわとした食感が命なので、オーダーを受けてからつくります。できれば1時間以内に食べてほしいですね」そんな出来たてのモンブランは、フォークを刺し、持ち上げた瞬間から確かに軽やかでふわふわ。土台となるメレンゲまでふわふわで一口食べると、栗のさりげない甘みと風味が豊かなマロンクリームがさらっととけて口の中いっぱいにひろがる。
中田が絶賛するショートケーキ「シャンティフレーズ」も見た目は昔ながらのショートケーキ。イチゴ、クリーム、そしてスポンジ。たったそれだけの組み合わせなのに、イチゴの酸味、クリームのコク、スポンジの食感がまさに三“味”一体となって口の中を通り抜け、身体にすっと入っていく。これまで食べてきたショートケーキとは、まるで別次元だ。ケーキのほかにも焼き菓子の人気も高い。
常時10種類程度あるというケーク・オ・フリュイ(パウンドケーキ)やマカロン、フィナンシェ、カヌレなど、どれも期待以上に美味しく、ギフトとして購入されることも多いらしい。
店の奥をのぞくと、10人以上の若者が白衣に身を包んでケーキをつくっていた。店のサイズに対して多すぎるような気がして尋ねてみると、「本当においしいケーキをつくろうと思ったら、すごく手間ひまがかかる。だからどうしても人数が多くなってしまうんです」素材にこだわり、作り方にこだわり、そして人にこだわる。そんな店のケーキがおいしいのは当たり前なのかもしれない。