世界三大織物の一つ「大島紬」古代天然染色工房「金井工芸」/鹿児島県大島郡

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奄美大島が誇る「大島紬」

鹿児島で大島といえば、奄美大島のことだ。離島としては、日本で3番目の大きさを誇り、2021年7月「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が世界自然遺産に登録された。奄美空港から、車を走らせること約30分。澄んだ青い海、力強く生育した南国の木々の先に、世界中で奄美大島だけで行われている天然の染色方法の泥染めをはじめ、天然染色の伝統を守る染工所「金井工芸」の小さな工房はある。

着物として人気がある「大島紬」の特徴

「大島紬」はフランスの「ゴブラン織り」、トルコ・イランの「ペルシャ絨毯」と並び世界三大織物のひとつに数えられる。
図案作成から織りまで30~40ほどの工程によって生み出される生地は、1本の反物が完成するまで半年~1年以上を要するという。
その特徴は職人の技法によって生まれる美しいつやと、軽くて暖かく、しわになりにくいしなやかな着心地。また、150年から200年着られるほど丈夫なつくりは、値段が高価というだけでなく親子3代に渡って受け継がれるなど世代を超えて愛用されることも多い。

「大島紬は約1300年以上の歴史を持っていて、デザインや図案、染め、織りと分業で作られてきた奄美の基幹産業です。私は一度奄美を離れて、25歳のときに島に戻って染めを始めました。多くの人と染めを通して接点を持ちながら、この文化を受け継いでいくことを楽しみながらやっています」(金井志人さん)この泥には、150万年前の古い地層から水に溶けた出た鉄分が多く含まれており、それがここにしかない黒を生み出している。

大島紬は、奄美で育つ車輪梅(しゃりんばい)を染料として、その中に含まれるタンニンが泥の中で鉄分と化学反応させることで漆黒の黒に染め上がる。車輪梅は東北地方南部以南に生息するバラ科の低木で街路樹としてもよく見かけるが、奄美で育つ車輪梅からとれる染料は特に色が濃いと金井さんは言う。

「大島紬といえば濃色で深い輝きのシルクが有名ですが、黒く染まるまでどれくらい染めを繰り返すんですか?」(中田)
「80から100回程度です。染料に20〜30回染めては、泥のなかで化学反応させ、干して、洗う。これを繰り返します。天気が良い時でだいたい1週間くらいの作業です」(金井さん)

この泥には、150万年前の古い地層から水に溶けた出た鉄分が多く含まれており、それがここにしかない黒を生み出している。

伝統の「大島紬」と現代の融合

そんな希少な自然資源が生み出す工芸品でありながら、かつて島内に100以上存在した泥染めの工房は、現在では4、5軒程度にまで減ってしまったそうだ。工房脇のモダンなギャラリーでは、タペストリーやストール、Tシャツやワンピースなど、泥染めを施した小物や衣類を展示・販売している。日本古来の伝統技法と現代生活を融合させる金井工芸には、首都圏からのコラボレーション企画の相談もしばしば持ち込まれるという。日本の美を支えているのは、高い技術を持ち、手間を惜しまない職人たち。若い職人の感性が、日本のもつポテンシャルを再び発見し、受け継いでいる。

ACCESS

金井工芸
鹿児島県大島郡龍郷町戸口2205-1
TEL 0997-62-3428
URL http://www.kanaikougei.com/
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