住宅街日高にある加藤牧場
牧場といえば、広々とした丘陵を思い浮かべる。だが、加藤牧場は、都心のベッドタウンとして知られる日高市の住宅街のなかにある。閑静な住宅街を行くと突然出てくるので驚く人も多いそうなのだが、実は住宅街の中に牧場があるのではなく、牧場のまわりに住宅がどんどんできたのだという。昭和29年に先代が1頭の乳用牛を購入したことから始まり、加藤牧場が牛10頭とともに所沢からこの地に移転したのは、約50年前のこと。
「その頃は、民家どころか道路もほとんどなく、夜になると真っ暗でした」(加藤牧場代表取締役・加藤忠司さん)。
現在は約200頭の乳牛を飼育しているが、広い区画の中で牛がつながれず自由に歩き回れるスペースと専有の牛床を持つフリーストール方式の牛舎で、牛が快適に過ごせる環境を整えるだけでなく、平成7年にはジェラート店、平成9年には乳製品工場を設立し、良質な牛乳、ヨーグルト、チーズ製造といった6次産業化を目指した。
牛乳の味が別格の加藤牧場
決して広い牧場ではない。だが、その牛乳の味は格別。なにしろ直売所の隣にすぐ牛舎があり、牛乳は、しぼってから最短1時間(最長でも12時間以内)で殺菌され、瓶詰めされるのだ。生乳の脂肪を砕かない「ノンホモ低温殺菌牛乳」は脂肪球を砕かないので脂肪の吸収が抑えられており、甘みが濃厚でありながら、さっぱりとして乳臭さはまったくない。
「安心・安全のため、飼料にもこだわり、大手ではできないミルクつくりを目指してきました。住宅街のなかにあるので、週末などには家族連れの方も多くいらっしゃいます」
牧場の敷地内には食事ができるレストランもあり、いろいろな味のあるチーズ丼やチーズがたっぷりで絶品なリゾット、牛乳高麗鍋などが提供されている。牛乳や乳製品を身近に感じてもらうために体験メニューも豊富で、乳しぼりやバターやチーズ、アイスクリームやピザ作りも体験できる(前日までに予約、2020年12月現在改装中)。
乳製品の加工品も揃う
直売所では、プリンやソフトクリーム、チーズ、ヨーグルトなどの加工品も豊富に揃う。「乳製品の美味しさを多くの消費者に味わってもらうこと」をコンセプトがあるだけに、商品やレストランのメニュー開発にも積極的だ。
特にプリンは、全国の有名店のものを食べた中田英寿が思わず「おいしい」とこぼしたほどの味わいがある。加藤牧場こだわりの牛乳と生クリーム、砂糖、地場産の卵、バニラビーンズだけと素材にこだわっていて、添加物は一切使用していない。
加藤牧場はチーズも豊富
チーズの種類も豊富にあり、2年に1度開催される国内最大級のチーズの祭典である「ジャパンチーズアワード2020」において、加藤牧場のブッラータチーズがブッラータ部門で金賞・最優秀賞を獲得した。その他にも、ブルーチーズ、ウォッシュチーズ、シェーブルも銅賞を獲得したことからも、クオリティの高さがわかる。乳製品といえば北海道のイメージが強いが、東京からも近く、家族で楽しむこともでき、足を運ぶだけの価値はある。