多種多様な酒造りへ
埼玉県越生町に工場を構える麻原酒造。5代目の麻原健一さんにお話を伺った。
「約20年くらい前、先代の時は日本で一番小さな酒造だったかもしれません。50石くらいしか造らなかった。もともとずっと日本酒を造ってきましたが、リキュール類を造り始めたのは12年前くらいから。今では日本酒は800石、リキュール類はかなり多く生産するようになりました。」
実は2011年3月に本社の蔵が全焼するという災難に見舞われ、造っていた酒の3分の1が消失してしまったという。日本酒は新潟県長岡市で造り、越生町工場ではリキュール類、ワイン、焼酎を製造している。
リキュール商品開発の面白さ
麻原酒造の商品ラインナップを聞いて驚くのは豊富な商品の種類だ。その数、実に数十種類。自社製品のほかに企業のプライベートブランド製品も請け負っており、特にリキュール類の開発には力を入れている。
もろみざけ、サイダー酒、マッコリ、梅酒、ゆず酒、発泡酒と試飲が進むなか、中田が気になったのは、「狭山茶梅酒」。「こんなに緑茶の味がよく出てる梅酒ってあまりないですね。美味しい」
狭山茶と越生町の梅を仕込み、さわやかなお茶風味と梅の甘みが心地よく溶け合った一本だ。
「リキュール類の製造を始めて“変化球”を求めて造っていたら、可能性が無限で様々な酒ができるんです。今は野菜のリキュールも作っています。お客さんからも、こういうお酒を造れないか?と依頼が来ますが、どんな物もとにかく造る。絶対に断らないのがうちのモットーです。」と笑いながら話す、麻原さん。ユニークな商品も次々と飛び出し、中田と麻原さんの商品開発話は延々と続いたのだった。