機能美の房州うちわ「うやま工房 宇山正男」/千葉県南房総市

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房州うちわの技を今に伝える

香川の丸亀うちわ、京都の京うちわ、そして千葉の房州うちわ --日本の「三大うちわ」だ。
今回訪れたのは、房州うちわの伝統工芸士、宇山正男さんの工房。

工房に上がってさまざまなうちわを見せていただきながら、中田が尋ねる。
「うちわは、産地によって違いがあるんですか?」
「丸亀は平柄(平たい持ち手)のうちわでしょ。工程も8くらいしかないんです。房州うちわは丸柄(丸い持ち手)で、工程は21もあります」
「京うちわはどうですか?」
「京うちわは、骨を並べて糊で紙を貼って、後から柄を挟んで取り付けるんですね」
「それぞれ持ち手の部分が違うんですね」

房州うちわに使う竹は、このあたりに自生する女竹、なかでも大名竹を使う。
なるべく自然の中で風にあたらず、まっすぐに育った竹を選ぶが、近年では竹の選定や伐採ができる職人さんが激減し、今は宇山さんただ1人となってしまった。
手作業でうちわを作る職人さん自体も、数十人が残るのみ。
今年で80歳になる宇山さんは、そのなかで全工程を1人でこなすことができる唯一の職人さんだ。

簡単そうに見えて難しい、竹を割る技術

そんな宇山さんがうちわを作る手さばきは美しい。
持ち手になる柄の部分を残して、1本の竹を48~64等分に割いていく。
あっという間に割かれた数十本の竹が骨組みとなり、それを糸で編んで格子模様の美しい「窓」を作る。

見ているだけだとシンプルな作業だが、やってみるとこれがとても難しい。
1本の竹を8本に、そしてそれを16本に、さらにその1本を4本ずつに割いていくのだが、なんとか中田ができたのは16本のところまで。
それ以上細かく割くには、直径2ミリほどの骨の真ん中に刃をあてなくてはならないが、これが至難の業なのだ。
「骨を割くと、片方が太くて、もう片方は細くなっちゃう。人間の目は右と左で違うから、最終的にどちらかの目で見ちゃうと、どうしても太さにズレが出ちゃう」と中田。
「目がチラチラとしますからね。簡単そうに見えて、難しい。何でもそうでしょう」
宇山さん曰く、ちゃんと竹を割けるようになるには、これだけやっていても1年はかかるという。

割竹ができたら、骨を扇状に広げ、炭火で焼いて、そこにうちわの生地を貼っていく。
生地は和紙か布だが、自分で気に入ったものを持ち込んで作っていただくことも可能だという。布地の場合は、綿か絹がいいそうだ。

手作りの房州うちわの心地よさ

「震災で船がダメになってしまったところでは、大漁旗がたくさん集まったんですよね。ただ捨てるのも忍びないということで、何かできないかなと話していたんですが、それをうちわにするのもいいかもしれない」

完成したうちわを眺めながら、「きれいじゃない?」とご満悦の中田。
思った以上に手間をかけて出来上がるうちわ。
それだけに手作りのよさをしみじみと味わえる逸品だ。

ACCESS

うやま工房 宇山正男
千葉県南房総市本織2040
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