全国有数のフルーツ王国として知られる福島県。なかでも、福島を代表する果物といえば「桃」だろう。産地では福島市、伊達市などが有名だが、今回、中田英寿さんが向かったのは、伊達郡桑折町(こおりまち)。町産の桃は、25年連続で皇室献上品に選ばれている。 |
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福島の人と自然が育んだ、極上の桃を求めて阿武隈(あぶくま)川沿いに延々と広がる桃畑。通称「ピーチロード」と呼ばれる一角にある南祐宏(みなみ・まさひろ)さんの農園では、「たまき」「日川白鳳(ひかわはくほう)」など6~7月上旬の早い時期に実る桃が収穫の時を迎えていた。 |
福島市・信夫山羽黒神社(しのぶやまはぐろじんじゃ)の祭り「信夫三山暁(しのぶさんざんあかつき)まいり」の名に由来する「あかつき」は、昭和54年に品種登録された、例年8月上旬~中旬(気候によって変動。今年は7月末~8月上旬が見込まれている)が収穫時期の桃だ。小玉品種だったことから、全国的にはあまり栽培されなかったのだが、福島の生産者たちは、その味わいの良さに着目。栽培方法を工夫して実を大きくし、果肉が緻密(ちみつ)で甘みの強い、極上のブランド桃に育て上げた。 |
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原発事故の風評で、県内の桃は販売量、価格ともに大きく落ち込んだこと。丹精込めた桃を安心して食べてもらいたい一心で、桃の木1本、1本の除染を徹底したこと。除染で弱ってしまった木を植え替えながら、黙々と桃を育て続けたこと。震災から7年を過ぎたいま、販売価格も以前の水準まで回復。アジアなど海外への輸出も伸び、励みになっていると南さんは言う。 「食の安全・安心に対する我々、生産者の取り組みが評価頂けている結果でもある。おいしいというお声を頂くたびに、報われたような気持ちになるんです」 照れたように笑う南さんに、「あかつき」を食べられるのを楽しみにしていますと力強く告げると、中田さんは笑顔で農園を後にした。 |
ACCESS
- 桃農家 南祐宏さん
- 福島県伊達郡桑折町