歴史の色濃い銘酒「会津中将」
鶴乃江酒造は1794年(寛政6年)創業の老舗で、福島県会津若松市の街中に居を構える。明治初期に会津の象徴である鶴ヶ城と猪苗代湖を表わす「鶴乃江」と名を改め、昭和52年から藩祖保科正之公(徳川家光の弟)の官位にちなんで「会津中将」を造り始めた。近年は新しい銘柄「ゆり」も造りはじめ、この名は統括部長 向井洋年さんの奥様の名前だという。地元の酒造好適米と磐梯山の伏流水を使用、熟練された杜氏と寒冷な気候が美酒 を生む。
手間暇かけて造られる会津中将
麹室はお母様の林恵子さん、奥様のゆりさんが担当しており、作業の様子を見せてもらう。続いて、劣化の元となる菌の殺菌や酵素の働きを止めるために、酒を温める熱種充填の工程も見学する。どの工程も手作業で進められ、手間と時間をかけているのが分かる。向井さんに目指す味を聞いてみると、「口に含んだ時 お米の甘味をしっかり感じて、飲み込んだらすっとその味が消えていくというのがいい」と答えが返ってきた。中田も「まったく同意見だ」と頷いた。
会津中将は甘味とキレが絶妙の味わい
SAKE COMPETITIONの結果発表の翌日には完売となった「会津中将 純米大吟醸 特醸酒」。
これまでたくさん受賞してきたが、今回の反響の大きさにはとても驚いたという。さっそく中田も利き酒をしてみると、「甘味とキレのバランスがいい」と絶賛であった。「1位になったことが、プレッシャーになるか」と中田が言うと、向井さんは「まだまだチャレンジャー。これまで通りの理想の酒を追い求め、来年も勝負していく。ぜひ連覇を狙いたい」と抱負を語った。