ほどけるような口溶けと優しい風味の心地良い余韻——。6年前、福島発の生キャラメルが、パリで行われた世界最大級のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」を席巻した。 |
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100年後も色あせない、福島が誇るお菓子へお菓子好きとしても知られ、数々の商品開発や監修を手がけている中田英寿さん。向山製作所の存在も以前から知っていたと聞き、織田金也(おだ・きんや)社長は「うれしいなぁ」と笑った。 |
もともと料理好きで、フード事業に興味のあった社長。反対する社員らを説得し、栄養士の資格を持つ女性社員と、ゼロからレシピづくりに取り組んだ。お菓子作りではプロに到底及ばない。代わりに温度や時間や重さなど、細かなデータを測定。電卓をたたきながら、1年をかけて生キャラメルのレシピを作り上げた。 |
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2011年3月1日。向山製作所の夢を乗せた最初の飛行機が飛び立った。だが、10日後に起きた東日本大震災で状況は一変。物流がまひし、さらに県産の乳製品に出荷制限がかかる。 |
「自分を信じて社員はついて来てくれた。やめるにしても、力は尽くしたと胸を張りたかったんです」 けれど予想に反して、向山製作所はフランスの人々から万雷の拍手で迎えられる。 「フランスは自信を取り戻させてくれた場所。感謝しかありません」 パリでの成果が日本に伝わると、徐々に売り上げも回復。近年は、順調に業績を伸ばしている。 「材料調達の範囲を全国に広げたことが結果として、新たな可能性を広げてくれたのでしょうか?」という中田さんの質問に、そうした側面もあると認めつつ、織田社長は福島の味への強い思いを口にする。 |
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ACCESS
- 株式会社向山製作所
- 福島県安達郡大玉村大山字西向26番地
- URL http://www.mukaiyama-ss.co.jp/caramel/index.html