こだわりの日本の米を使う「田酒」
西田酒造店を代表するひとつの酒が「田酒」。その名前にある「田」とは「田んぼ」のこと。酒といえば米。その米が収穫される田んぼのことを思ってその名前はつけられた。日本の田んぼで獲れた米を使っている、つまり、醸造用アルコールなどを一切使用していないということを堂々と謳ったお酒だ。その名の通り、米の旨みが生きた旨口の純米酒で多くのファンを魅了している。
1970年に「日本酒の原点に帰り、風格ある本物の酒を造りたい」という思いから昔ながらの完全な手造りによる純米酒の醸造に着手。その3年後の1973年に商品化されることとなった。
幻の米「古城錦」で改良された田酒
田酒はさらに改良を加えられた。幻の米といわれる、青森県産初代酒造好適米「古城錦」を特定の農家に栽培を依頼し復活させ、1991年から仕込みを開始し「田酒 古城乃錦」として地元向けに発売を始めた。
また田酒のシリーズのうち「純米大吟醸 百四拾 田酒」は青森県奨励の県産酒造好適米「華想い」を使用している。麹米、掛米すべてに「華想い」を使用し、米もすべて青森のものであるまさに「青森の地酒」として好評を得ている。
自然の力が作る田酒
蔵を案内してもらったあと、実際に田酒を飲ませていただいた。まずは香りを楽しむ。艶のある香りがふわりと広がる。ひと口、ふた口と中田は飲みすすめる。嫌みのない米本来の旨みが飲みやすく、どこまでも飲めてしまいそうな味だ。
さらに今回は「フラワースノー」という名前の田酒の発泡酒も用意してくれた。限定生産で造られたというこのお酒はすぐに売り切れとなってしまったそうだ。「元気のいいものでしか造れない」と話してくれたが、実際に元気がよすぎて開栓時に吹きこぼしてしまったお客様もいたという。「ガスを充填して調整したりとかは?」という中田の質問には「やっぱり素材そのもの、自然のガスのほうがいいかなと思っています」と答えてくれた。
青森県の田んぼで生まれた米。その米で生まれた青森のお酒。青森を代表する地酒のひとつ田酒は、青森市唯一の酒蔵から生まれている。