津軽塗を支える木地「つちだ工房」土田亙さん/青森県弘前市

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青森を代表する工芸品、津軽塗

津軽を代表する工芸品である津軽塗。江戸時代の中期に弘前藩藩主の津軽信政の治世に始まったとされる。まず目が行くのは複雑で美しい模様だ。「研ぎ出し変り塗」といわれる技法で、幾重にも塗り重ねた漆を研ぎだして作り出される。津軽塗のもうひとつの特徴は、しっかりとした作りで実用性が高いというところにある。それを生み出しているのが木地職人だ。木地というのは読んで字のごとく、漆を塗る前の木材のこと。大きく分けて木地職人には板を組み合わせる指物師とろくろなどを使って器を作る木地師がいる。それら木地職人が作り出したものに漆を塗って漆塗はできあがる。

木地作りはすべてが手作業

江戸末期には30人以上の木地職人が活躍していたが、現在では数軒を残すほどに減少してしまった。現在でも活躍する木工所のひとつ、つちだ工房におじゃました。「もともとは祖父が家具などの指物師だったんです」というのは今回お話を伺った土田亙さん。使う木材のほとんどが青森ヒバ。ヒバは耐久性が強いうえに柔らかさももっているので漆塗には最適なのだそうだ。
 加工は製材、木取りなどの加工は機械作業が一般的で、その他組み立てや仕上げまでの精度を伴う大事な作業は手作業。四角いお盆の縁を削るところを見せていただいた。四辺の木を組み合わせ、それぞれをつなぎとめた小さな木をかんなで削る。大小のかんなを用い削っていく。ときに大胆に、そして最後は繊細に削る。ミリ単位の調整が必要となる、まさに職人の仕事だ。

塗師のことを考えて木地を作る

木地師は漆を塗る前の木地を作る職人だ。だから漆を塗った最終的な作品は塗師のところでできあがる。「作ったものが手元に残らない寂しさもありますか?」と中田が聞くと少し笑いながら「それはありますね」と土田さんは答えてくれた。
「でもやっぱりものを作るのは楽しいです。わたしたちの仕事は塗師さんの注文通りにやることがほとんど。でもその注文はアバウトなものも多いので、自分のアイディアとかが入る余地がある。そういうところを考えながらやるのは楽しいです」
 土田さんは塗師のクセまで考えながら木地を作るという。「塗師がいないと木地師はいない」と土田さんは言うが、木地師がいないと塗師は仕事ができないのもまた事実だ。津軽を代表する工芸品の津軽塗は、多くの匠の手によって支えられているのだ。
画像:ⓒTEKUTEKU編集部

ACCESS

つちだ工房
青森県弘前市原ヶ平山中20-30
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