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場の雰囲気を変える作品ひとつの作品があるだけで、空気がピシっと締まる。お話を伺った庄司逸雄さんの作品もそんな「空気を変えてしまう」存在感を持った作品だ。 |
金属の表情を作り出すさらに作品の評価を高めたのは、その肌。鋳金はいわゆる鋳物なので、まずは全体のフォルムを決める鋳型が重要になる。それとともに、鋳金を鋳金たらしめているのは、磨きなどの、その後の作業だ。庄司さんの平らな花器は素材であるおぼろ銀の質感をうまく表現し、行きすぎず手前で止まらずという絶妙なバランスで肌合いを表現していたのだ。 |
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火と合金を扱うお話を伺ったあとに実際に金属を溶かして、鋳物を作るところを見せてもらった。まず庄司さんがもってきたのは“青銅の延べ棒”。一見、木の棒にも見えるような姿だが、床に置くと、「コツン」と金属の音がする。重さも相当なもの。今回は鉄瓶の蓋を作る作業だったので、青銅も少量だったが大きなものを作るとなればそれ相応の量が必要となる。それを轟々と音を立てて燃える火の中に入れる。溶けるのを待ってから取り出す。このときの熱さは想像以上のもの。「これが大変なんですよ。熱くても、火傷しても、こぼせないからね」と笑って作業をしていたが、とても笑えるような状況ではない。溶かす金属や鋳型などの違いで取り出すタイミングも違ってくる。それが作品にも大きく影響するというので、まさに作者の勘がためされる場面でもある。 |
ACCESS
- 鋳金工芸 佐野屋
- 山形市桧町2-4-14