農耕社会の成立を今に伝える証「吉野ヶ里遺跡」/佐賀県吉野ケ里町

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人のあゆみがわかる吉野ケ里遺跡

古代、人類が地球上に現れたのは、今から約360万年から300万年前。旧石器時代とよばれ、マンモスやナウマン象が生息していたこの時代、中期旧石器時代の約10万年から5万年前に日本はまだアジア大陸と陸続きで、人類はこれらの大型動物を追って移住してきたと考えられている。
約1万年前に氷河期時代が終わり、気候の温暖化による海面上昇によって列島が大陸と切り離れると、日本は徐々に現在とほぼ同じ環境になった。植物は針葉樹林にかわって、落葉広葉樹林となり、動物も大型の動物が姿を消して、猪や鹿・兎といった小動物が増える。このような自然環境の変化に応じて文化も発展、打製石器や有文の土器が作られるようになった時代を縄文時代と呼んでいる。

「クニ」の原型が生まれた弥生時代

日本も大陸情勢の影響を受け、紀元前4世紀ごろ、九州北部に農耕社会が成立した。この時期の中国大陸は秦時代、強大な統一国家が誕生し、周辺諸民族にその文化を波及していた。これまでの縄文土器にかわって、弥生土器とよばれる無文の薄手で赤褐色の土器が使われ、青銅器や鉄器、絹織物、高床式倉庫など、生活様式の変化に合わせたより高度な道具を使う弥生文化は、九州北部でまず成立し、それが全国的に広がったものと考えられている。

佐賀県に残る吉野ヶ里遺跡は、弥生時代の遺跡の中でも日本最大級で、弥生時代における「クニ」の中心的な集落の全貌や、前・中・後期のすべての時期の遺構・遺物が発見されている、古代の歴史を解き明かす上で極めて貴重な遺跡だ。

発掘調査だけでなく、様々な体験もできる遺跡

人々が暮らした集落、暮らしに必要なものを収めていた倉や祭り・祈り・裁判を行う場、王が暮らした住まいなど、園内にはあらゆるものが復元されており、現在も県による発掘が行われている。また、火おこし(雨天時は土笛づくりに変更)や勾玉づくり、鏡・「親魏倭王」印・金印込み体験といった「ものづくり体験」や、当時の人々の衣服を身につけ布づくりなどの暮らしを体験する「弥生なりきり体験」といったプログラムが用意されているので、我々の祖先の暮らしをリアルに感じてみることもよいだろう。

ACCESS

吉野ヶ里歴史公園
佐賀県神崎郡吉野ヶ里町田手1843
URL http://www.yoshinogari.jp/
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