収穫後に熟成させる「鳴門金時」
徳島県は西の端、鳴門海峡に沿った地域でつくられたさつまいもを「鳴門金時」という。鳴門金時を2つに割れば、中は鮮やかな小金色。甘みが強く、栗のようなホクホクした食感が自慢の徳島の特産品である。
なぜ、鳴門金時はこれほど甘いのか。それは、徳島の温暖で降雨量の少ない気候と、海のミネラルをたっぷり含んだ鳴門海峡の砂地あってこそ。また熟成させるのがポイントで、鳴門金時は収穫したてよりも貯蔵したもののほうが美味しい。他の野菜とは違って、寝かせることで水分が飛び、甘みが増すのである。
塩分やミネラルによって美味しく育つサツマイモ
そこで今回は、この鳴門金時の貯蔵に力を入れている出村農園にお邪魔することに。鳴門市の大津町で、約2万㎡の畑に5万6000本もの鳴門金時を栽培している。出村さんの農園では、他の農園よりも1カ月近く貯蔵期間を延ばしているのだとか。こうしてたっぷり熟成させると、デンプンが糖に変わり、他にはないほど美味しいという評判の鳴門金時ができる。
また、農薬に頼らない自然農法も実践。美味しいいもをつくるには、とくに塩分、ミネラルが大切だという。天然ミネラルをたっぷり含んだ有機肥料や風化サンゴを使った肥料を中心に、栽培をおこなっている。
鳴門金時は夏~冬にかけて出回るが、なかでも美味しいのは11~2月ごろのもの。この時期は、9~11月にかけて収穫したいもを2~3か月寝かしたものが出回り、これが一番美味しいのだとか。甘みだけでなく、食物繊維もビタミンも豊富な鳴門金時。美容と健康のためにもおすすめだ。