香味豊かな徳島のシンボル「すだち」/徳島県勝浦町

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古くから徳島の地を代表する存在

焼き立ての脂の乗ったサンマに、すだちをぎゅっとひと絞り。あるいは、すりおろしたすだちの皮をわさびに混ぜてお刺身に…。普段食べなれたものでも、すだちを添えるだけでグンと風味が増すから不思議だ。なかでも秋の味覚とは相性ばつぐん。いまや高級料亭では欠かせない食材になっている。 このすだち、徳島県が原産である。古事記には、田道間守(たぢまもり)という人物が、天皇の命で一年中芳香を放つ「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)」という果実を求め、海の彼方の理想郷・「常世(とこよ)の国」に渡ったという記録がある。 現在では、この果実は橘のことではないかとされているが、橘はすだちの原種なので、「阿波の徳島にすだちの原種を求めたのだ!」と力説する郷土史家の方もおられるそう。それほど徳島ではすだちが特別で、県のシンボルともいえる果樹なのだ。生産量は当然のように全国第1位、国内の97%ものシェアを占めている。

種の少ない品種改良に取り組む

ところで、すだちを横に二つ切りにすると、大きめの種がいくつか入っているのが分かる。果実は小振りなのに、すだちにはなんと通常10個前後の種が入っているのだとか!そこで、県立の果樹研究所では種なし品種の開発に取り組んでいる。2004年には品種名「3X1号」、通称「ニューすだち」が誕生。現在も、「3Xファミリー」の育成に取り組み、すだちの普及に努力している。 本場・徳島では、すだちはさまざまな料理の名脇役として使われている。焼き魚や刺身だけでなく、焼酎に絞ったりジュースにしたりアイスにしたり。輪切りのすだちを乗せたアジやボウゼの姿寿司に、たらいうどんや半田そうめんの薬味、徳島ラーメンの風味付け…、と郷土料理にも大活躍。 そんな工夫を真似して、たまには料理に添えて風味を味わうのもいいかもしれない。

ACCESS

徳島県立農林総合技術支援センター果樹研究所
徳島県勝浦郡勝浦町沼江
URL https://www.pref.tokushima.lg.jp/tafftsc/material/kyukajyuken/
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