食生活の変化、米粉の消費減少を食い止める
「んー……、これは……、食べたことのない食感」ひと言発したあとは、黙々と箸と口だけが動く。
中田が夢中で食べていたのは、「群馬製粉」の米粉の麺、その名も「J麺」だ。
食べ終わると「これでニョッキを作ってみたらどう?」「粒みたいに小さくして、スープに入れてもおいしそう」と次々にアイデアを披露する。J麺は、中田のアイデア心を大いにくすぐってしまったらしい。
この日伺った群馬製粉株式会社は、昭和22年の設立以来、最中粉やもち米といった米粉を作ってきた製粉メーカー。米粉はもともと和菓子に多く用いられてきだが、近年の食生活の変化とともに、需要は減少するばかりだったという。
一味も二味も可能性を持つ米粉製品!
そんななか、3代目社長の山口慶一さんがまだ社員だったころ、危惧を覚えた先々代のおじいさんから「現代の日本人の食生活にあった米粉製品を開発できないか」というお達しが下った。
そこで慶一さんは、有名パティスリー「モンサンクレール」のパティシエ・辻口博啓さんとともに、洋菓子にも使える米粉の開発に取り組み、そしてできあがったのが「リ・ファリーヌ」という米粉である。
粒子の細さは小麦粉の2倍。パンでもケーキでも、そのまま小麦粉に置き換えて使えるという画期的な粉で、製菓業界に革命を起こした。
その後も米粉の研究を重ね、次にできあがったのが冒頭でも紹介したJ麺である。手打ちのパスタをさらにもちっとさせた感じの麺は、群馬県内はもちろん全国でも評判で、取り扱いのある飲食店、スーパー、百貨店も増加中だ。じわじわと食卓に浸透しつつある。
J麺はうどんやラーメン、パスタ代わりにそのまま使ってもいいし、ココナッツミルクなどと組み合わせればデザートにもなる。食べ方はお好み次第。中田のアイデア心がくすぐられるのも納得、の幅広いアレンジが可能なのだ。
お米の国日本が作る、お米の麺。
これまで食べたことのない食感にやみつきになること間違いなしだ。