広大な田んぼでお米を作る
大学在学中は、「まさか自分が農業をやるとは思っていなかった」という家倉敬和さん。その言葉とは裏腹に、卒業後すぐ2004年から家業の農業を継ぐことになった。現在約34haの田で稲作をしているが、その広さはなんと甲子園球場約30個分。そこをすべて親子3人で作業しているのだという。
無農薬のお米を目指す理由
敬和さんには、1つの狙いがあった。それは、無農薬で米を作れないか、ということ。
じつは、敬和さんが大学1年生のとき、実家で農薬散布の手伝いをしていたら、強風でその農薬が目に入ってしまったのだという。
「少し痛いけれど大丈夫だろう」とたかを括っていたら、翌日になると目が信じられないほどに腫れ上がった。急いで医者に行き処置をしてもらったが、視力が下がってしまうという結果に。そのときの経験から、「それなら農薬なんて使わない方法ってないのかな」と考えたのだという。
安心のために、きちんとした情報開示を行う
だが、そう簡単にはいかない。うまく収穫量が伸びなかったり、雑草も生えてきたり。
しかし、試行錯誤のうえ、ようやく「ミルキークイーン 縁enつながり」という4年間農薬、化学肥料不使用の米にたどり着いた。看板商品となり、平成21年収穫の分はすでに売り切れ。購入するには、9月ごろまで待たなければならないという人気ぶりだ。しかし、家倉家の農地は広大。すべての田んぼを無農薬にするなんて到底できないことだ。
最近の農薬は、人体や生態系への影響を極力抑えてつくられているから、決して無農薬だけがいいわけではない。
けれども、消費者の安全・安心につなげたいという思いから、ホームページ上で、どういった農薬をどれぐらいの量使用したのかということを報告している。食べる側からすれば、こうした情報開示こそ、嬉しいことだと思う。