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桜の名を冠す“片野桜”
またや見ん 交野の御野の桜狩り
花の雪散る 春の曙
これは、新古今和歌集に残る藤原俊成(藤原定家の父)の歌。交野(かたの)は、京の公家たちにこよなく愛された遊猟の地であると同時に、桜の名所でもあった。その桜を名前に冠した酒が、ここ山野酒造で造られている「片野桜」である。ただし、「かた」の字が違うところに注目。
地名となっている「交野」には「互いに狩りに行く野」という意味があり、酒の名前に使われている「片野」には「許された者のみが狩猟できる野」という意味があるそうだ。
米の栽培からこだわった“一貫造り”のお酒「秋鹿酒蔵」/大阪府能勢町 – NIHONMONO
自ら育てた米を使用する一貫造り 大阪府の北端、能勢町。いまだ棚田が残る田園風景のなかに建つ酒蔵がある。それが、
古きよき酒と最先端の酒が共存する「西条合資」/大阪府河内長野市 – NIHONMONO
歴史の偉人に愛された“天野酒” 1718年の創業以来、約300年もの間、酒造りを続けている酒蔵、「西条合資」。
こだわりの片野桜に力を注ぐ
その意味の通り、「片野桜」は格調高いこだわりの酒である。蔵の製造数量の約8割が、吟醸酒や純米酒など特定名称酒と呼ばれる清酒であり、その内の5割が原酒で蔵出しされるという、非常に貴重な酒造なのだ。そのため、蔵で年間に製造できる総量は約400石。
藤原俊成が「もう見ることはないのかもしれん」と嘆いた交野の桜。そのたおやかな桜の姿は、たおやかな味の酒となって、毎年世に送り出されている。