くだもの王国・福島
くだものは大きく分けて、暖地性のもの、寒地性のもののふたつに分類できる。福島県は気候風土に恵まれ、そのふたつの分類をともに栽培できる場所なのだ。だから一年を通じて、もも、なし、りんご、さくらんぼ、ぶどう、かきなどなど、様々な種類のくだものが栽培、出荷されている。県内でも特に「くだもの王国」と呼ばれるのが福島市。もも、なしを中心に、全国においしいくだものを届けている。
「あさづき」「王秋」などの梨を育てる
ということで、福島市で梨作りをしている芳賀幸一さんのもとを訪ねた。もともと農協の職員をして、退職したのちに昔からの産地「萱場」(かやば)の地にこだわり廃園となった梨畑を借り、自ら”あさづき”、”王秋”等を改植し栽培を始めた。梨のほかに小菊も栽培しているそうだ。
芳賀さんに連れられて梨の木のなかに入っていく。梨の主な収穫時期は9月から10月。取材当日は「ちょっと遅いかもな」と芳賀さんがいうように収穫も終わりかけの時期だった。それでもまだ木には梨がたくさんなっている。「ちょっともうやわいかな」と芳賀さんはそれを眺めて言う。
梨は皮ごと食べても美味しい
その話を聞いて木になる梨を眺めながら「どんな梨がおいしい梨ですか?」と中田が聞くと、芳賀さんは「少しだけ青みが抜けたときが一番いいんだよね」という。
ならば、ということで、中田は見せてもらった梨を吟味して、皮をむかずにそのままかじりつく。気持ちのいい音がして、モグモグ。飲み込んだ中田は顔をほころばせて「甘い!」と一言。中田がいただいたのはあきづきという品種。豊水と新高との中間にあたる品種で、高糖度でジューシーな梨。何より実がおおぶりなのが特徴。ひとつまるごと食べればそれだけでお腹がいっぱいになってしまいそうな梨。
…なのだが、梨好きの中田はどんどんと口に運ぶ。その姿を見て「本当に好きなんだね」と目を細めて、芳賀さんはまた次の梨“新興”(しんこう)と“王秋”(おうしゅう)を出してくれた。