富山の薬売りと縁の深い和紙
富山といえば薬売り。製薬業や売薬業が始まったのは江戸時代のころ。それと時を同じくして、盛んになったのが八尾和紙の生産であった。この時代には薬の包装紙や袋紙、帳簿などに使われたのだ。
さらに時代をさかのぼると、奈良時代の「正倉院文書」や平安時代に書かれた「延喜式」のなかに「越中紙」という記述が見られることから、かなり長い歴史を持っている。
特徴は、丈夫でコシが強いということ。
そのため、傘紙、障子紙、提灯紙などに多く用いられた。
型染紙を作る
今回訪れた「桂樹舎」では、鮮やかな色や柄が美しい「型染紙(かたぞめし)」を生産している。
「型紙の紙は、柿渋染めをした紙、渋紙を使います。」そう説明していただいたのは、桂樹舎の吉田泰樹さん。
以前、三重県の旅で「伊勢型紙」に触れる機会があった中田は、渋紙に見覚えがあった。
「型染紙」は、型紙と防染糊と絵の具を使って、手作業で絵柄を付けていく。
工房では、カレンダーのデザインの型を使って、和紙に防染糊を塗る作業中だった。
色とりどりの八尾和紙
桂樹舎では、八尾和紙の強さを生かして、財布や手提げ袋、クッションや座布団まで作っている。
和紙の厚さや撥水加工を施すなど工夫して、テーブルクロスやランチョンマット等に利用することができるのではないかと、吉田さんに提案する中田。
和紙を生活に取り入れる方法についての談義は続いた。
和紙の伝統を守る
現在では伝統的な「型染紙」の八尾和紙を製作するところは、ほとんどなくなってしまった。
そのなかで、「桂樹舎」では古来の伝統を守り、昔ながらの八尾和紙を作り続けている。